ワクチン接種後に運動すると抗体が増加 米研究

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 被験者が行った運動は、自転車エルゴメーターや屋外のウォーキング、ジョギング、エアロビクスで、いずれもそれぞれの年齢から計算された推定最大心拍数の60~70%を保つ程度に調整されていた。他方、安静グループは座って90分間ビデオ鑑賞などをして過ごした。

◆副反応には影響なし
 新型コロナワクチンでは、被験者が運動したのは1回目のワクチン接種の後である。採血は1回目のワクチンの接種前と、その2週間後、4週間後に行われた。また、2回目のワクチン接種は1回目の3週間後に実施され、2回目のワクチン接種後はどちらのグループの被験者も運動を控えさせられた。

 気になる運動と副反応の関係だが、この実験においては新型コロナワクチン接種者の運動グループと安静グループにワクチンの副反応の頻度や期間の違いはなかった。新型コロナワクチン接種後は副反応に備えて安静にする人が多いが、実際は運動したからといって副反応がひどくなるわけではないということだ。

◆ワクチン接種とスポーツ
 運動がワクチンによる免疫反応を高めるメカニズムはまだ解明されていないが、研究者らはいくつかの仮説を立てている。「運動が血液とリンパ液の循環を促すため、接種されたワクチンがより多くの免疫細胞とめぐり合う」とする仮説や、「運動によって生成されたインターフェロンαの産出が、特定の抗体の産出を促進する可能性がある」というものだ(フュチューラ・サンテ誌、2/15)。

 ウォーキング程度であれば幅広い年代層で取り入れられる運動だ。仮説が裏付けられるにはさらなる研究が必要だが、とりあえず次のワクチン接種時には遠回りして帰宅しようかと考えている。

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Text by 冠ゆき