アフリカでモデルナのコピーワクチン開発、WHO援助 途上国との格差是正へ

アフリゲンの施設でワクチン開発を進める研究者(10月19日)|Jerome Delay / AP Photo

 南アフリカのスタートアップ企業が、モデルナ社の製品に近い新型コロナワクチン製造を目指している。世界保健機関(WHO)が援助を行っており、背景には効果が高いとされるワクチンが豊かな国にばかり供給され、途上国に行き渡らないという現実がある。

◆待望のアフリカ産ワクチンへ 完成すれば技術を公開
 モデルナ製ワクチンの再現を試みているのは、南アフリカのアフリゲン社だ。これまで動物用ワクチンの開発を専門としてきた。リバースエンジニアリング(製品を分析してその設計や製造方法などを明らかにすること)で解明を進めており、米公共ラジオ網NPRによれば、すでにモデルナが公開してきた情報をもとに必要な設備や特殊な成分のほとんどを特定したという。

 研究を支援するWHOの担当者、マーティン・フリーデ氏は、アフリカや中東など、ワクチンの生産能力がないため困っている地域があると述べる。製品の充填や包装をする国はあっても、すべての過程を自前でできる製造業者が存在しないことが問題だとしている。豊かな国では人口の半分以上がワクチンを接種しているが、アフリカではわずか5%しか接種を完了していないのが現実だ。(NPR)

 アフリゲンのペトロ・ターブランシュ社長は、1年以内にワクチン治験を行い、程なくして商業生産に向かうことを目指しているという。モデルナ版のワクチン製造に成功した場合、その情報はほかで利用できるように公開すると同氏は述べている(AP)。WHOは、大規模生産が可能になればアフリゲンを「技術移転のハブ」とし、低中所得国メーカーにすべての製造プロセスを学んでもらう計画だという(NPR)。

Text by 山川 真智子