跡地から先住民の墓や遺骨 カナダ寄宿学校の歴史が問題に

Chad Hipolito / The Canadian Press via AP

 カナダでは、1990年代まで先住民の子供を強制的に収容する寄宿学校が存在していた。白人社会との同化を目指した非人道的な制度で、15万人以上の先住民が対象になったとされ、カナダ政府は過去にこの同化政策について謝罪している。ところが最近になって跡地から数百の墓や遺骨が相次いで発見されたことで抗議活動が起こり、責任を問う声が再燃している。

◆歴史問題が再燃? 子供の遺骨発見がきっかけ
 先住民の寄宿学校制度が始まったのは1800年代だ。子供が家族から引き離され、ときには何千キロも離れた場所に移送されたという。目的は、子供からコミュニティとのつながりを奪い、欧州文化を植えつけることだったと、カナダ真実和解委員会(TRC、過去の制度の過ちを解決するため政府が出資した委員会)は説明している。虐待や不当な扱いも報告され、多くの子供たちが自宅に戻ることもできない「制度的人種差別」「ジェノサイド(集団殺戮)」だったと結論づけられている。(米ABC

 カナダ政府は、2008年に正式に同化政策について先住民に謝罪している。しかし5月と6月に、ブリティッシュコロンビア州やスカチュワン州の寄宿学校跡地から数百の子供の遺骨や名前の記されていない墓がみつかったことで、改めて先住民コミュニティや活動家の間から正義を求める声が上がっている。

Text by 山川 真智子