国民はスプートニクVに不信感、接種進まず ロシアで感染再拡大

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 ロシアで新型コロナの感染が再拡大している。6月9日には、一日の感染者数が3月以来の1万人越えを記録。しかもその後増加の一途で、13日には、1万5千人近くにまで増えている。一日の死者数の減少も3月後半で止まり、その後は400人近くを上下している。世界に先駆けて、スプートニクVを開発したロシアに何が起こっているのか?

◆進まぬワクチン接種
 プーチン露大統領が、新型コロナウイルスワクチン、スプートニクVの誕生を公表したのは、昨年8月11日のことだった。臨床試験第3段階のデータが公開されていないなど、当初は世界から疑心暗鬼の目で見られていたが、その後権威ある英医学誌ランセットで、91.6%の有効性が確認されたとする論文が掲載され、いまでは67ヶ国へ輸出されるワクチンだ。

 ところが、その華々しさとは裏腹に、実は、ロシア国内のワクチン接種は遅々として進んでいない。『Our World in Data』によると、13日の時点で、一回目のワクチン接種済みは1851万で、人口比は12.7%。必要回数のワクチン接種を完了したのは、1432万人で人口の9.8%だ。数ヶ月遅れてワクチン接種を始めた日本でさえ、13日には1758万人が一回目のワクチン接種を済ませている。ロシアのワクチン接種がいかに遅いかがうかがい知れる。

Text by 冠ゆき