フランスなど無料の国も PCR検査の値段格差

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◆EU27ヶ国では近々値下がりか?
 万人に等しく無料でPCR検査を行うフランスの医療保険は、フランスの住民がヨーロッパ内の外国で受けたPCR検査についても、50ユーロを上限に払い戻すとしている。ヨーロッパ外の外国で受けた場合も、医学的必要による検査なら27%の払い戻しが可能だ。(CNews、5/29)これらの政策は、当然同国の社会保障制度に重くのしかかっており、2021年は、350億ユーロ(約4兆6750万円)の赤字に達すると見込まれている(ル・ドーフィネ紙、4/8)。

 それに加え、無料のPCR検査を目当てに、隣国ベルギーから国境を越えてくるベルギー人が最近増えたのも、フランスにとっては頭の痛い話だ(20minutes紙、6/1)。

 しかしながら、EU27ヶ国では近々検査値下がりが予想されている。7月1日から運用を開始するデジタルワクチン証明書についての内容を定める際、PCR検査を「手ごろな価格で提供」することに各国が合意し、欧州委員会はこれに1億ユーロ投じることを決めたからだ。

◆日本と中国の自費検査の値段
 日本の状況はどうだろうか? 厚生労働省は、「自費検査を提供する検査機関一覧」を公開している。これを見ると、東京都内でPCR検査にかかる費用は約2万~3万5千円で、証明書発行にはさらに別途5000円前後必要だとわかる。また、一日に可能な検査人数が1人~30人と少人数である機関が半数以上を占めている。

 では中国はどうか? 中国の公的医療保険制度は決して手厚いとは言えないが、こと新型コロナウイルスに関しては、ワクチンもPCR検査も国民には無料で提供されている。外国人は有料だが、先ごろ上海の外国人向けのインターナショナルクリニックで検査とワクチンを受けた人の話によれば、PCR検査が220中国元(約3500円)、ワクチン接種が100中国元(約1720円)だったそうだ。PCR検査に関しては、日本の10分の1の値段である。

 そのほかの地域では、トルコが約25ユーロ(約3300円)、モロッコやチュニジア、アルジェリアなどの北アフリカが、40~50ユーロ(約5300~6600円)となっている(CNews)。

 こうして比べると、日本のPCR検査は世界的にもかなり高額で、アクセスしにくいものだということがよくわかる。日本はワクチン開発にもワクチン接種キャンペーンにも出遅れ、PCR検査へのハードルもいまだに高い。これに何かの意図があるなら、それを国民に開示してもらいたいものだ。

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Text by 冠ゆき