ミツバチでコロナ検査 訓練によって探知に成功 オランダ研究

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 ドイツやフランスなどヨーロッパで、新型コロナウイルスの感染者の臭いを嗅ぎ分ける探知犬の訓練が進んでいる。世界のいくつかの空港では、この探知犬がすでに配備されている。

 オランダでは、ミツバチに新型コロナウイルス感染の有無を識別させる研究を行っている。まだ実用化には至らないが、先日、ワーヘニンゲン大学・研究所がその様子を公表した

◆ウイルスの有無を数秒で識別
 本研究は、オランダのスタートアップ「InsectSense」とワーヘニンゲン生物獣医学研究所(WBVR)が行っている。WBVRは、世界の大学ランキング農業分野で1位を誇るワーヘニンゲン大学の研究所の一つだ。

 研究者たちは、条件付けによってミツバチを訓練した。複数単位で訓練し、計約150匹のミツバチを使った。まず、ミツバチを冷蔵庫や外気で冷やして動きを鈍らせ、ワイヤーで台に固定した。検体は、健康なミンクと新型コロナウイルスに感染したミンクの鼻腔をぬぐって取り、薬品と混ぜたものだ(米ワシントンポスト紙)。

 ウイルスを含んだ検体をミツバチに嗅がせた後、砂糖水を与え、吸わせることを数回繰り返した。一方、ウイルスを含まない検体のときは、砂糖水を与えなかった。こうして、ミツバチに「ウイルスを嗅いだら、砂糖水がもらえる(舌を伸ばす)」ことを学ばせた。その後、ミツバチは砂糖水なしでもウイルスを嗅げば舌を伸ばすようになった。つまり、「舌を伸ばせば陽性」のサインというわけだ。

 訓練を受けたミツバチは、たった数秒で、あまり間違いなく感染の有無を識別したという。さらに、人の検体を使った実験も行い、同様によい結果を得た。

 リサーチリーダーのウィム・ヴァン・デル・ポール教授は、「将来的に、一つの検体を複数の探知蜂に識別させることで、95%の正しい確率で感染の有無がわかるようになると思う」とワシントンポストに話している。
 
 また教授は、「ミツバチが新型コロナウイルスを広める危険性はない」と『DutchNews.nl』に語っている。

Text by 岩澤 里美