犬が新型コロナを探知 ヘルシンキ空港で試験プログラム開始

Antti Aimo-Koivisto / Lehtikuva via AP

 フィンランドのヘルシンキ空港で、新型コロナウイルスの感染者を探知犬により発見する試みが始まった。23日から始まった試験的プログラムで、ヘルシンキ大学獣医学部の研究により、探知犬による判別の信頼性が100%近いとの結果が出されたのを受けてスタートした。探知犬という耳新しいウイルス感染の判別方法は、どのように行われているのか。そして将来性についてはいかほどなのであろうか。

◆犬が病気を嗅ぎ分ける? どうやって?
「探知犬」といえば麻薬や爆発物を探すものがおなじみだ。それだけでなく、昨今は、ガンや糖尿病などの病気の罹患者を判別できる犬がいることも知られている。

 このことから、新型コロナウイルスの感染拡大が世界を脅かすなか、探知犬が感染者判別の救世主として注目され、フィンランドのほか、ドイツ、イギリス、フランス、オーストラリアなどで、広く研究や訓練が行われてきた。その結果、探知犬は、自覚症状が出る以前の、PCR検査では結果が出ないような初期の感染も発見することができる、ということがわかっている。また、ヘルシンキ空港によると、PCR検査に必要なウイルス量が1800万モルであるのに対し、犬はわずか10−100モルで判別することができるそうだ。
 
 それでは、犬は何のにおいを嗅いで判別しているのか気になるところだ。これについては、各国で研究が続けられているものの、犬がにおいにより嗅ぎ分けているのは間違いないが、何のにおいによって判別しているのか、現段階でははっきりとわかっていないという。

 しかしこれについては、フランスで6月、犬は新型コロナ感染者の汗のにおいで判別している可能性が高いという研究結果が発表されている。また、ドイツの国際公共メディア、ドイチェ・ヴィレは、「病気を罹患すると人体の代謝プロセスが大きく変わるため、それにより発生するにおいの違いを犬は感じることができるのではないか」とする感染症専門家の意見を伝えている。

Text by Tamami Persson