犬が新型コロナを探知 ヘルシンキ空港で試験プログラム開始

Antti Aimo-Koivisto / Lehtikuva via AP

◆探知犬に感染のリスクはないのか
 空港の探知犬といえば、待合エリアなどで旅客の荷物を嗅いでまわる姿を目にしたことがある人は多いだろう。しかし、ヘルシンキ空港の新型コロナの探知方法はそれとは異なる。

 犬は空港内に設置されたブースで待機、海外から到着した旅客が皮膚を消毒布のようなもので拭い、カップの中に入れ、それをブース内の犬が嗅ぐ。そして犬により感染者と判別された旅客は無料のPCR検査を受けることができる。

 新型コロナウイルスは、人間だけでなく猫などの動物への感染例も報告されているが、犬にとって、ウイルスが付着しているかもしれないものを嗅がせることのリスクはないのだろうか。

 これまでの研究で、犬は新型コロナには簡単に感染しないことがわかっている。まれに感染することはあっても、発症したり、人やほかの動物にうつすという証拠はないとのことだ。フィンランドの国営メディアYLEによる、ヘルシンキ大学のアンナ・ヒエルム・ビョルクマン氏への取材によると、犬は、ウイルスが感染の足がかりにするために必要な受容体を持っていないため、新型コロナに感染しにくいためなのだという。

◆探知犬は人々の未来に安心を与えることができるか
 今回スタートしたヘルシンキ空港のパイロットプログラムでは、現在、4頭の犬が、シフトで2頭ずつ働いている。さらに6頭が目下トレーニング中で、11月末までに10頭体制になることを目指しているという。そして年末までその活動のデータが集められる。 

 ニューヨークタイムズ紙によると、フィンランドでは、このプログラムの効果が認められれば、探知犬は老人ホームの職員の感染の有無を判別するのに利用でき、職員が不必要な自己隔離をすることが避けられると考えられている。

 正確性が担保されたうえにすべての行程が数分で終了する探知犬による判別は、リソースに限りのあるPCR検査の設備を本当に必要な患者への使用に回すこともでき、かなり魅力的な方法のように聞こえる。しかし、犬にとっても人間にとっても初めての試みであり、個体差があるなか、犬が何時間働けるのか、訓練所以外の場所でも同じように判別ができるのかは現段階では不透明だ。ほかにも、トレーニングにかかる時間やドッグトレーナーの人材と人件費の確保など、検討材料は少なくない。

 フィンランドが始めた、離れ業とも思われる、探知犬による新型コロナ感染の判別プログラム。どのようなデータが集まるか、他国が追随を考えられるものになるのか、今後の医療の向上のためにも注目される。

Text by Tamami Persson

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