「内申点上げて」教師に圧力、不合格に異議も 激化するスイスの中高一貫校入試
◆弁護士を交えて話し合う親も
受験生の親といえば、自分本位の人が目立ってきた。ギムナジウムに進学して大学を卒業したほうが人生のチャンスが広がると信じ、子供がギムナジウムに行きたくないのに、もしくは客観的にみてギムナジウムではやっていけそうにないのに無理矢理行かせようとする親が増えていると報道されている。子供が納得すればよいが、そうでないと入学してからが大変かもしれない。
そんな親たちの強い思いは、教師へも向けられる。「子供の成績(内申点)を少しでも高くして、受験で有利になるようにしてほしい」や、入試がない州でも「子供にギムナジウム進学を推薦してほしい」などと担任に圧力をかけるのだ。
担任との話し合いでおさまらない場合は校長が出ていかないといけなかったり、埒が明かない場合は当局に判断を仰ぐという。チューリヒ州のある小学校では、担任との面談に弁護士を連れてきた親までいる。しかも複数いたそうだ。弁護士は子供とは無関係なのに、担任の判断に影響を与えることができると考えている(スイス放送協会)。
またチューリヒ州では、ギムナジウム入試の不合格に異議申し立てをする親たちが5年ほどの間に急増し、2019年には過去最高の89件に達した。4件は認められたものの、85件は不承認だった(ターゲス・アンツァイガー紙)。認められれば採点に落ち度があったとして無償で済む一方、不承認の場合は、およそ6万~12万円の費用を支払うことになる。異議申し立てを申請すべきかどうかの判断を有料で請け負う弁護士も出てきた。
チューリヒ州では、2023年3月から、統一入試の合格点が引き上げられることが決まった。あきらめる親たちが増えるか、それとも苦情を言う親がますます増えるだろうか。
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