「内申点上げて」教師に圧力、不合格に異議も 激化するスイスの中高一貫校入試

シュヴィーツ州にあるギムナジウム「Kantonsschule Kollegium Schwyz」|Sander van der Werf / Shutterstock.com

◆小6の受験、準備しないと受からない!
 長期コース(中高一貫校)受験についてみてみよう。試験は、なかなか厄介だ。小学校の成績がとてもよくても受験勉強をしないとパスしないといわれる。小学校で学んでいるドイツ語と算数の内容とかなり違うため、しっかり対策を取らないと合格点に達しないのだ。

 たとえば、入試のドイツ語は読解(45分)と作文(1時間)の2種類で、作文は小学校の課題で書いているようなもので大丈夫だと思っていると、まったく歯が立たない。非常に論理立てて書かないと点数を取れない。

 各小学校では、小6の希望者を対象に入試対策を週1回開いている。それで十分だと考える親たちもいるし、少人数クラスの塾に通わせる親もいる。家庭教師を頼む親もいるし、教材は多数出ているので自分で指導する親もいるだろう。そうやって準備しても、十中八九受かると思われた子が不合格になることもある。入試当日、緊張が強くて本領を発揮できなかったのか。

 3月に小6の息子が受験し合格した母親Fさんは「うちの子のクラスには、2月の2週間の休み中に毎日7時間も勉強してラストスパートをかけた子がいたのですが不合格でした。過去問題をやりつくして万全に準備した子も不合格でした。2人とも、学校の成績はいいほうなのに」と話していた。

「受験が終わるまで、とにかく気が気ではない。早く受験が終わってほしい」と親たちが言うのをよく耳にする。合格したら、もちろん親も嬉しい。ただし、先ほどのFさんのように、すっかり安心できない親もいる。

「お試し期間(入学して最初の半年間)で全体の授業についていけないと落第して、普通の中学校に転校するというシステムです。うちの子は、好きな教科と苦手な教科の成績差がすごく激しいので少し心配です」(Fさん)

Text by 岩澤 里美