3社のワクチン接種のフランス 副反応など知っておきたいこと
また、2月4日までの数値を基にした11日の発表によれば、一回目のファイザー社のワクチンを受けた177万2000人以上のうち、「報告された副反応は2140例あり、そのうち464例が重いもの、つまり医療介入を必要とするものであった。その60%以上は局所的あるいは一般的な反応原性による症状で、予想されていたもの」だったが、予想外の副反応も観察されており、専門家が注意を促している。血圧の上昇がそれで、これまでに73件報告されている。これは「臨床試験時には指摘されなかった」ものだ。そのため、フランス国立医薬品健康製品安全庁(ANSM)は、ワクチン接種後、気分の悪さ、頭痛やめまいを訴える人への血圧測定を推奨している。また、心拍異常にも特別な注意が必要だ(ル・モンド紙、2/13)。
◆アストラゼネカの副反応は強いのか?
上述のようにフランスのアストラゼネカのワクチン接種は、50歳未満の医療従事者を対象として2月6日に始まった。しかし、ブルターニュ地方の病院では、その5日後にワクチンを一時的に中断せざるを得なくなった。同病院でワクチンを受けた職員の20〜25%が頭痛や発熱で病欠してしまったからだ。全体では、ワクチンを受けた約1万人のうち149人が高熱や筋肉痛、頭痛といったインフルエンザ症状を訴えたと記録されている(20 minutes、2/12)。
アストラゼネカのワクチンへの副反応が高いことの理由としてはいくつかの仮定が考えられる。免疫腫瘍学を専門とするエリック・ビリー氏は、アストラゼネカのワクチンを受けた人は、それ以外のワクチンを受けた人より若いことに注目する。「若いほどワクチンに対して免疫システムが反応する」ため、副反応も出やすいというのが同氏の考えだ。実際、アストラゼネカのワクチンを接種した1万人の平均年齢は34歳だった(同)。
また、ファイザーとモデルナのワクチンがmRNAワクチンであるのに対し、アストラゼネカのものはアデノウイルスをベクターとして用いるウイルスベクターワクチンだ。『フュチューラ・サンテ』(2/20)は、「(ウイルスベクターワクチンは)mRNAワクチンよりも免疫原性が高い」ため、副反応を起こしやすいとしている。
パンデミックとはその名の通り、地球上すべての人にかかわる問題である。ワクチン情報についても世界の事情を積極的に取得しておきたい。
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