フランスで進む“コロナ後遺症”に関する動き

嗅覚・味覚の検査を受ける患者(2月8日、ニース)|John Leicester / AP Photo

 新型コロナウイルス感染ののち陰性となってからも何らかの症状が残る状態、ロングCOVID。まだ解明されていない点も多い「病」だが、医療面でも制度面でも前に進もうという動きがここのところフランスで目覚ましい。

◆ロングCOVID患者に関する手引きの作成
 フランス高等保健機構(HAS)は2月12日、ロングCOVID患者について最初の手引きを発表した。同機関は、最初に症状が出たときから少なくとも4週間後に続いている例を「長く続く症状」と定義し、「ホームドクターによる個別の対応」と、「リハビリ、とくに呼吸器系のリハビリを中心に置く手法」を示唆している(フランス・アンフォ、2/12)。ロングCOVIDで最も多い症状は、「倦怠感、神経学的障害(認知、感覚、頭痛)、胸の痛みと圧迫、咳、呼吸器の不快感、心拍の問題、嗅覚および味覚の障害」と、実に広い範囲に及ぶ。そのため、原因の診断がつかず、患者が複数の診療科を回らないといけないケースや、医者もどのように対処するべきか悩むことが多いという。

◆若い女性、アレルギーを持つ人に多い?
 とはいえ、少しずつ時間とともに明らかになってきたこともある。まだ暫定的な数値だが、新型コロナに感染した人のうち、4週間後にまだ症状があるのは半数以上、6ヶ月後もまだ症状が消えない人は10%以上と見積もられている。また、パリのオテル・ディユー病院のデータによれば、ロングCOVIDに悩まされる患者の多くは若い女性で、アレルギーを持つ人が多いという。このことは、ホルモンまたは免疫が関係しているのではないかという仮定を示唆するものだ(フランス・アンフォ)。

Text by 冠ゆき