ワクチン不安を煽る報道の問題

John Locher / AP Photo

 米ファイザーと独ビオンテックが開発した新型コロナウイルスワクチンの接種が世界各地で開始されてからひと月以上経った。そのなか多くの国でワクチンへの不安を煽る報道が止まない。もちろん、副反応の事実については透明性のある報道としっかりとした検証が必要だが、因果関係を示さず、ただ不安を煽るだけの記事には注意が必要だ。

◆仏メディア「ワクチンが感染者を増やす」
 フランスのメディア『フランス・ソワール』は16日、世界でもっとも速いペースで接種が進むイスラエルや、EUに先んじてワクチン接種を開始したイギリスを例にとり、あたかもワクチンのせいで感染者が急増したかのように記述する投稿記事を掲載した。

 ワクチン接種開始後の感染者数推移をみれば、イギリスの感染者は1月8日をピークに急速に減少しており、イスラエルも1月後半から減少傾向に転じている。そもそもファイザーのワクチンは2回目の接種の7日後から95%の有効性があるとされる。2回目の接種は1回目の接種の21日後とされているため、最初にワクチン接種を受けたグループでさえ、1ヶ月後でなければワクチン効果の恩恵を最大限に受けることはないのだ。国全体に効果が表れるには多くの人がワクチン接種を受ける必要があるため、さらに時間がかかる。その点、12月4日にワクチン接種を開始したイギリスで1月8日をピークに感染者数が減少していることや、12月20日にワクチン接種を開始したイスラエルで1月後半から減少傾向に転じた事実は、むしろワクチン接種の効果を表していると思われる。

Text by 冠ゆき

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