感染広がるカリフォルニア変異株 研究者が注目する2つのポイント

NIAID-RML via AP

◆感染力、致死率、子どもへの影響は?
 シダーズシナイ研究所エリック・ベイル教授は「南カリフォルニアでのCOVID-19陽性症例の最近の急増は、CAL.20Cの出現と一致している」(ウエスト・フランス紙)と述べている。一方で、同研究所のウェンジュアン・ジャン教授は、感染急増時期は「休暇時期とも一致している」(マリアンヌ紙)と指摘しており、感染拡大の要因が変異だけとはまだ決められない。

 ウエスト・フランス紙は、ジャン教授の言葉として「この変異株はより攻撃的で、感染力も強いと思われる。子供にさえ深刻な呼吸器の問題を起こしている」と記すが、同教授はマリアンヌ紙のインタビューに答え、「この変異株の感染力や致死率が高いか、子供への影響がより大きいかどうかはまだわからない。ウエスト・フランス紙が、私の言葉の引用として書いた内容は正しくない」と発言している。

◆研究者が注目する点
 このように、カリフォルニア変異株についてはまだ研究中の項目が多く、明言できることは少ない。だが、とくに注目したい点が2つある。ひとつは、7月にいったん現れたにもかかわらず、「11月末まで半ば眠ったままでいて、そのあと急劇に広がった」ことだ。この事実は、つまり「ほかの変異株も、同じようにある日いきなり増加することがあり得る」ことを示している(ウエスト・フランス紙)

 もうひとつは、ワクチンの効果だ。「より多くの変異株が発生するにつれて、流通ワクチンがすべての変異株をカバーする可能性は減少する」と指摘する上述のヘーゼルタイン氏は、インフルエンザ同様、抗Covid-19ワクチンも毎年適応させて製造する必要が出てくるのではないかと考える。

 世界各国でワクチン接種が進むなか、変異株を発生させないことがこれまで以上に重要になってきたといえよう。感染予防は、個々人の健康を守るだけでなく、変異株発生を抑えることにもつながると改めて心しておきたい。

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Text by 冠ゆき