スイス、ワクチン副反応の初報告書 依然「安全度高い」

Gerry Broome / AP Photo

◆イギリス変異株抑制のためにも予防接種を
 ワクチンは、イギリス変異株にも効果がありそうだとされる。スイスでもイギリス変異株が確認されており、国内で早く予防接種を広めるべきだという意見が出ている。

 スイス連邦工科大学チューリッヒ校バイオシステム学部のタニア・シュタードラー教授は、スイスにおける感染者1000人について遺伝子検査した(スイス放送協会)。イギリス、南アフリカ、ブラジルの3つの変異株に関しては、イギリス変異株が目立ったという。

 教授によると、まだ割合は低いもののイギリスとデンマークの状況と同じく、毎週、イギリス変異株の感染者数が倍に増えている。これは、今後ますます増えるという意味だ。しかし、「人との接触を減らせば、最初のウイルスとイギリス変異株の両方の感染拡大を遅らせ、最良の場合、感染者数を減らすことができる。つまり、感染の収束は我々の手にかかっている」と、人との接触を減らすことの重要性を強調する。

「接触を減らさなければ、集中治療室で再び問題が起き、非常に多くの死者が出ることになる。現時点ではまだ、イギリス変異株が第3波を確実にもたらすかどうかはっきりしていない。とにかく人との接触を減らし、感染者数が低くなった場合には接触歴追跡を集中的に進める必要があり、それによって広範囲な対策ではなく限定的な措置を取ることができるようになる」

 同時に、集団免疫の状態になるために、早く予防接種を広めるべきだとも述べる。

◆スイス世論調査、41%が「すぐ摂取したい」
 新型コロナウイルスのワクチンの効果は高いが、安全性については世界中でさまざまな意見が出ている。

 感染症専門医の忽那賢志氏は、Yahoo!ニュース個人で、ファイザー製とモデルナ製の2つのワクチンは90%以上の予防効果(発症リスクが10分の1になる、インフルエンザのワクチンは一般的には50%程度の予防効果)があり、重症化防止効果も非常に高いと説明しつつ、次のように言う。

「どんなワクチンであっても100%安全なものはありません。というかむしろ、軽微のものも含めるとほとんどの人になんらかの副反応は起こるでしょう」

 氏は予防接種をするかどうかは個人の判断だとし、氏自身は、医療従事者である点、重症化リスクの高い「男性・高血圧・肥満」に当てはまるため接種するという。

 スイスで、1月初旬に実施された第6回新型コロナウイルス世論調査(回答4万3797人)では、41.4%(男性44.5%、女性38.7%)が「すぐに摂取する」と答え、前回10月の調査の16%を大きく上回った。10月の調査時、冒頭の2つのワクチンの臨床試験結果はまだ公表されていなかった。また「摂取を待ちたい」は33.9%、「摂取しない」は24.1%となった。

【関連記事】
英国、南ア、ブラジルの変異株 感染力、ワクチン効果など
国民は全土ロックダウンしてほしい コロナ第2波到来のスイス
ワクチン不安を煽る報道の問題

Text by 岩澤 里美