東京五輪、海外も諦めムード? 変異株が追い打ち、より不確実に

Kiichiro Sato / AP Photo

◆変異株も影響、不確実性高まる
 世界各地を感染の波が襲うたびに、五輪への影響が心配されてきた。もっともワクチンが各国で認可され始め、感染が抑えられている国ではスポーツイベントも行われていることから、感染対策をすれば開催できるという東京大会への楽観的な見方も広がっていた。

 しかし今年になって、コロナウイルスの変異株という予測不能だったワイルドカードが出現したことで不確実性が高まったとクオーツは述べる。日本も含め、各地で感染が急増。イギリスや南アフリカでは増加が変異株と関連付けられており、外国人の入国を広げつつあった日本は、再度門を閉じてしまった。東京と近隣地域では緊急事態宣言も発表され、感染の急増は、五輪反対や政府の支持率低下といった世論調査の結果につながっている。

 IOCのメンバーからも気になる発言が出ている。ベテラン委員の1人、ディック・パウンド氏は、開催は確実とは言えないとし、その原因が「進行中の見て見ぬふりをしているウイルスの急増」だとBBCに述べている。これがメディアで大きく取り上げられたためか、その後ワシントン・ポスト紙のインタビューで、状況は対策次第で変わるため、まだパニックになるのは早いと発言し、トーンダウンした。同氏はまた、高齢者や医療従事者などの優先すべき人の後に、五輪アスリートにワクチンを接種すべきという個人的考えを表明しており、ワクチンなしでは開催が困難なことを示唆しているようにも聞こえる。

◆東京2024? 今年開催でも課題山積み
 一方、五輪のボート競技で4つの金メダルを獲得したマシュー・ピンセント氏は、この夏の開催は無理だと断じる。同氏は、前出のパウンド氏のアスリートに優先してワクチンを、という考えは反倫理的だと述べ、結局大会のためにワクチンなしで数千人が世界を飛び回る危険を冒すことは「ばかげている」とした。すでに世間の今年の大会への気持ちは冷めており、東京大会はその次のパリ、ロサンゼルス大会を先送りすることで、2024年に開催すべきと持論を述べた(アイルランド放送協会)。

 米タイム誌は、たとえ東京大会がこの夏開催できたとしても、航空会社の大量の減便で、206の国と地域から1万5000人を超えるアスリートを連れてくるのはハードルが高いと述べる。また、数千人の関係者をもともと密な東京でどう守るか、そして壊滅的スーパースプレッダーイベントになる可能性に直面する、首都圏に住む数千万人をどうなだめるかも大きな問題だと指摘している。

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Text by 山川 真智子