今年の欧州のクリスマスは? 制限強化・延長やむなし、苦しい各国

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◆緩和速度を緩めたフランス
 フランスは、外出制限を12月15日さらに緩和し、外出制限から夜間外出禁止に移行した。つまり、日中は、時間も距離も制限なく外出できるようになった。しかしながら、同国の新規感染者数は、いまだ一日1万人を超えた数字にとどまっており、当初の目標とされた一日5000人にはほど遠い。そのため、夜間外出禁止開始時間を予定より1時間早め、20時から6時が外出禁止と定められた。また、12月24日は予定通り例外的に夜間外出禁止を解除するが、31日の解除は行われないこととなった。クリスマスの食事のテーブルにつける人数は大人6人までとされている。さらに、12月15日からの営業再開が見込まれていた映画館や美術館、劇場も、閉鎖が継続されることが決まった。

◆道路封鎖を決めたリトアニア
 国民の移動を制限するため、道路封鎖という手段をとるのはリトアニアだ。第一波の影響はあまり受けずに済んだリトアニアだが、第二波には翻弄されている。実際人口約280万人に満たない同国では、現在一日の感染者数が3000人を超える日も出ており、一日の死者も12月16日に44人とこれまでの最多を記録した。(『Worldometer』12/18)すでに1ヶ月前からバー、レストランの営業はテイクアウトのみとなっているが、それに加え、12月16日からほとんどの商店や美容院も閉鎖されることとなった。国民にはステイホームが推奨され、12月16日から1月3日まで仕事や通院、葬儀出席の例外を除く移動は禁止となる。この移動の禁止がより確実となるよう、警察は、道路に250ヶ所障害物を配置する意向だ。

 どの国も一様に警戒するのは、年明けからの第三波である。春と比べ、二度目のロックダウン効果があまり望めなかったこと、どれだけ規制しようともクリスマス休暇には人と人の接触が増えるであろうこと、これから2月までさらに気温が下がる時期であること、年末から始まるワクチンの効果が感じられるのは2021年夏になると見積もられていること(フランスアンフォ、12/17)、これらを鑑みれば、それぞれの決定に至った各国首脳の懊悩も計り知れるだろう。デンマークのメッテ・フレデリクセン首相が強調する「1月と2月がパンデミックの最悪の月になるのではないかという恐れ」(20 minutes紙、12/16)が現実にならないとは、残念ながらいまのところ誰にも保証できない。

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Text by 冠ゆき