コロナでベビーブームは起こるのか? 先進国と途上国で差か

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 コロナ禍で収入が減少したり仕事を失ったりしたことで経済的な不安を感じたり、妊娠中にコロナウイルスに感染してしまったときのことを心配したりと、妊娠を望まない理由はさまざまだろう。英エコノミスト誌(10月28日)はこれらに加え、ステイホーム中の女性の家庭での役割が不平等に大きく、新生児の世話など考えられないと感じている人も多い、と伝えている。同記事中で、米ボーリング・グリーン州立大学のカレン・ベンジャミン・グッゾ氏は、「誰も、子供が欲しくないと言っているわけではないのです。子供を作るのは無理だ、作るべきではない、と言っているのです」と述べている。

◆発展途上国 望まない妊娠増加の可能性
 経済的に貧しい国では、コロナ禍での望まない妊娠の増加が予測されている。国連人口基金によると、低、中所得国114ヶ国における4億5000万人の女性が避妊具を利用する。同基金は4月、ロックダウンが6ヶ月続いて医療サービスの崩壊が起きた場合、上記国々における4700万人以上の女性が避妊具や避妊薬を手に入れられなくなり、約700万人の女性が望まない妊娠をしてしまう可能性があると警告した(UN、4月28日)。

 実際に、避妊具のサプライチェーンは混乱している。世界保健機関が8月に行った調査では、調査対象である103ヶ国のうちの3分の2の国が、家族計画や避妊に関するサービスを中断していることがわかった。前出のエコノミストでは、インドの医療機関のデータをもとに、12〜3月の間に同国での避妊用ピルとコンドームの配布がそれぞれ15%と23%減少したとも伝えている。またAP通信(8月19日)によると、国際家族計画連盟が西アフリカの一部地域で、一部の避妊具の供給が前年同期に比べて50%近く減少した。

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Text by 中原加晴