香川で検出の鳥インフル「H5N8型」、欧州でも拡大 Xマス控え打撃

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◆潜在的リスク
 各国躍起になって封じ込めようとしているH5N8型だが、実はいまのところはヒトにとって有害なウイルスではない。鳥類病理学を専門とするジャン=リュック・ゲラン教授も、「H5N8型ウイルスが感染するのは鳥類だけだ。種の壁を越え哺乳類に至る力はなく、ヒトに危険をもたらすことはない」(ウエスト・フランス紙、2017/1/5)と明言している。とはいえ、パンデミックに世界が苦しむ現在、ヒト感染に移行する前の予防対策の重要性は、誰にとっても自明のことであろう。そうして、鳥インフルエンザの伝播を防ぐための予防策として唯一有効な方法は、ターゲットを絞った殺処分であるため、感染が発見されるたび、やむなく処分される家禽が発生することになるのだ。

◆泣き面に蜂の経済的打撃
 日本でもすでに46万羽が殺処分され関連業者への打撃は避けられないものとなっているが、これからの季節が書き入れ時となるヨーロッパにも悲壮感が漂う。というのも、クリスマスといえば西欧では七面鳥やチキン、鴨のローストがつきものであるし、フォアグラの消費も年末年始にかかっているからだ。フランスのフォアグラ生産業者ラヴァ氏は「うちの売り上げの70%は11、12月なのに」(20minutes、11/6)と嘆く。そうでなくともパンデミックの影響で、今年のクリスマスは家族の集まりも望めそうになく、家禽飼育業者は厳しい状況に置かれているところ、鳥インフルエンザの発生で泣き面に蜂の事態だ。

 これもまた、病原体拡散は世界共通の問題だと再確認させてくれるニュースだ。

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Text by 冠ゆき