人類自ら招いているパンデミック 次を避けるために個人ができることは?

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 環境破壊を繰り返し、野生動物の居場所を減らし、ひっきりなしに地球上を移動する。人類がこの生活様式を変えない限り、パンデミックは何度も起こり得ると考える学者は多い。それはなぜか? また、生活様式を変えるには個々人のレベルで何ができるのか?

◆1980年代から増加したズーノーシス
 動物由来感染症(ズーノーシス)とは「動物から人に伝染する疫病」のことで、古くは天然痘、麻疹、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)などがこれにあたる。1980年代から急激に増加しており、エイズの原因となるヒト免疫不全ウイルス(HIV)や、鳥インフルエンザ、エボラなどの流行を呼んだ。自然科学系ジャーナリストのデヴィッド・クワメンは2013年ズーノーシスとパンデミックについての本を著しており、「専門家はみな、次なるパンデミックは、動物、それも恐らく野生の動物を起源とするだろうと予測していた」と語る(ル・モンド紙 4/19)。2017年ネイチャー誌に発表された研究も「最近の疫病のほとんどは、野生の動物に端を発している」と、同様の指摘をしている(同上)。

◆野生動物からヒトへ
 では、野生動物からヒトへと、ウイルスはどのようにたどり着くのか? ル・モンド紙(4/19)があげる例のうち、1990年代終わりにマレーシアで起こったニパウイルスの集団感染は実に示唆的なものだ。始まりは、ボルネオ島の木を伐採し建設された養豚場だった。もともとこのジャングルには、ニパウイルスの宿主である果食性コウモリが生息していた。そのコウモリが齧って落とした果実などを、豚が食べ、果実に付着しているコウモリの唾液や排泄物を介してニパウイルスに感染する。その後、感染した豚から、世話をするヒトへとウイルスが広がっていったのだ。これにより105人が亡くなり、感染拡大を止めるため100万頭以上の豚が屠殺された。

 この例は、ヒトが森林を破壊し、野生動物のテリトリーに侵入していることを示すだけではない。というのも、イスラム教徒の多いマレーシアでは食用豚肉の需要は少なく、この養豚場は、輸出用の豚肉を供給するために作られたのだ。つまりこの例は、ヒトが、自らの移動や輸出を介して、ウイルスの蔓延にも手を貸していることを示している。

 生物学者ジル・ブフによれば、航空便の数は7、8年おきに倍増を繰り返しており、新型コロナウイルス以前は、一日に12万便が世界の空を行き来していた(フランス3 5/19)。発達した空の交通網が、新型コロナウイルスの世界的流行に一役買ったことは、我々も身をもって知るところである。

Text by 冠ゆき

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