人類自ら招いているパンデミック 次を避けるために個人ができることは?

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◆温暖化によりバクテリアも活発に
 現代人のライフスタイルはまた、温室効果ガスの排出量を増やし、地球の温暖化の原因となっている。ニュース専門放送局ユーロニュース(5/19)は、ヨーロッパの気温は「産業革命以前と比べて平均1.3度上回」っており、細菌による病気のリスクを高める可能性があると警告を鳴らした。たとえば、「バルト海の水温が高くなると、とくにビブリオのような細菌による病のリスクが上がる」とされる。ビブリオというのはいわゆる「人食いバクテリア」と呼ばれる細菌で、水浴により、傷や口から感染する。欧州疾病予防管理センター(ECDC)のヤン・セメンサ教授によれば、「エボラウイルスと同等の死亡率の敗血症を引き起こす可能性があり、非常に危険」な細菌である。

 また同サイトは、ヨーロッパの南部で、熱帯病を媒介するアジアのタイガーモスキートが繁殖し始めていることも指摘する。実際セメンサ教授によれば、「これまでヨーロッパにはなかったデング熱やチクングニア、ジカウイルスなどの熱帯病が見られるように」なったという。日本にとっても他人ごとではないニュースであろう。

◆地産地消、消費生活の見直し
 フランスの生物医学教授ジャン=ミシェル・クラヴリーが述べるように、「新たなウイルスの出現を許す環境を作っているのは、我々現代人の生活様式」である(20 minutes)。一説によれば、地球上には未知のウイルスが32万存在するという。新型コロナ以前の暮らしをそのまま続けていけば、必ず近いうちに、第二、第三のパンデミックが起こるであろうというのが、専門家らの考えだ。

 では、次のパンデミックを避けるためにできることは何か? 大局的には、人々の啓蒙や、新たな経済モデルの作成が必要だろうが、個々人にできることも少なくない。どの学者も口をそろえるのが、地産地消の優先である。「土地のもの、オーガニック農法によるもの、季節のものを食べる頻度をあげる。(中略)それだけで、大陸間の貿易や、土壌を荒らすもとになる集約的な農作物を大幅に削減できる」とジル・ブフ教授は説明する(フランス3)。もちろん、見直すべき消費は食物だけではない。車や携帯電話、衣料品、それらは本当に買い替える必要のあるものなのか? 消費者天国、日本では、立ち止まって考える機会に事欠かないはずだ。

Text by 冠ゆき