第二波に苦しむヨーロッパ、次々と規制再強化 試される連帯

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◆第一波から学んだこと
 この時期ロックダウンが相次ぐ理由には、第二波の深刻化だけでなく、クリスマスを正常に過ごしたいという希望が大きい。どの国も、当面のロックダウンの解除時期はクリスマス前に設定しており、ロックダウン下でのクリスマスをなんとしても避けたい意向だ。

 ところで今回のロックダウンには、春とは異なる点も多々見られる。まず、ほぼどの国も託児所や学校を休校にしていない。また、老人ホームの面会も、前回は全面的に禁止する国が多かったが、今回は人数制限などに留めるところが多い。加えて、「必要不可欠でない」商店枠も少し異なるようだ。たとえば、フランスでは、閉業対象にある書店などに開業許可を与えようとする自治体の動きが現在進行形だ。

 第一波時には、EU加盟国間の足並みの揃わなさが目立ったが、今回はEUもそれを避けたい意向だ。10月29日には、EU27ヶ国首脳によるヴァーチャルサミットが開かれた。新型コロナがもたらす危機的状況に対抗する戦略調整を目的に、感染テストやワクチン計画の相互承認など議題は豊富で、「頻繁な会合」を続けたいとしている(ユーロニュース、10/29)。欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長も「無傷に終わるEU加盟国はないであろう」と楽観できない見通しを示しながらも、「だからこそ、協力や調整、連帯を求めるのだ」と明言する(ユーロニュース、10/28)。第二波は、EUの連帯を試す正念場ともなるであろう。

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Text by 冠ゆき