植民地主義者の像の撤去、アフリカの長きにわたる戦い

AP Photo / Schalk van Zuydam

 アフリカでは国が独立を勝ち取ったり、世代が変わって人種差別の慣習をやめるべきだという声が広まったりすると、ヴィクトリア女王やセシル・ローズ、レオポルド2世といった植民地支配の指導者を称える像が倒壊されることが、長年にわたって繰り返されてきた。

 現在、アフリカの例に倣って、アメリカやヨーロッパでも抗議運動が起こっている。ジョージ・フロイド氏が警察官に殺害されたアメリカの事件を受け、歴史上の人権侵害問題が再燃した結果、奴隷商人や植民地支配者のモニュメントが、世界各国で抗議運動の標的となっているのだ。

 アフリカではここ最近、倒壊を逃れている像を狙う抗議運動は起こっていない。しかしいくつかの像は、過去に激しいデモの標的となったことがある。

 ケープタウン大学は2015年4月、強硬派の学生が中心となって起こした抗議運動を受け、大学のエントランスからセシル・ローズの像を撤去した。南アフリカで少数派の白人による支配を支持し、自身の名をとった領土、北ローデシアと南ローデシア(後にザンビア、ジンバブエとして独立)の植民地化を推し進めたセシル・ローズの像には、傷がつけられ、汚物がかけられた。

 クレーン車がセシル・ローズ像を台座から持ち上げると、生徒たちは喝采した。この像は現在、地元の陸軍基地で防水シートに覆われ保管されている。

 ジンバブエでも、セシル・ローズ像が倒されたことがある。同国が独立を果たした数ヶ月後、1980年7月のことだ。同国の首都ハラレ(当時はソールズベリーという名の植民地)では、セシル・ローズ像が倒されると、デモの参加者らが歓声を上げ、像にハンマーを叩きつけた。

 ケニアのナイロビに置かれたヴィクトリア英女王の像は、2015年に何者かにより破壊され、頭部を落とされた。現在もダウンタウンの広場には、頭をなくしたヴィクトリア女王像が、台座の隣に横たわっている。

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 ナイロビ在住のサミュエル・オビエロ氏は、「この像を見ると、植民地主義者らのせいで先祖たちが味わった苦しみを思わずにはいられません。植民地主義者の姿を見るたび、辛い記憶が鮮明に蘇ります。そのようなものは一掃すべきです。世界中の植民地主義者の像を壊すとともに、植民地主義に苦しめられた誰もが、このような辛い記憶から解放されるようにすべきです」と言う。

 ベルギーでは現在、同国の植民地支配者、レオポルド2世を称える像がデモの標的となっているが、数十年前にはその像の複製がコンゴで倒壊されている。コンゴのレオポルド2世像は1928年に建てられたが、1960年に同国が独立を果たした7年後、当時の指導者であるモブツ・セセ・セコ大統領が、像の取り壊しを命じた。

 レオポルド2世像は、2005年に飾り板を新しくして再建された。その背景には、植民地支配の恐怖を忘れないようにという当局の思惑があった。しかし市民からの激しい抗議が止まず、像は後に取り壊された。

 問題の像は現在、国連コンゴ民主共和国ミッションが設立した国立博物館研究所の敷地内で、植民地関連のモニュメントを集めた公園の一角に建っている。公園は一般市民の入場を許可するとしているが、首都キンシャサの大統領官邸のすぐ近くという立地のため、出入りを制限している。園内には、探検家のヘンリー・モートンや、デイヴィッド・リヴィングストンの像もある。

 南アフリカ初期の白人支配者であるポール・クリューガーの像については、首都のプレトリアで抗議運動が激化したため、像への接近を防ぐ柵が設けられた。像の土台の目立つところに、「キラー・キラー」の文字が落書きされている。

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 19歳の露店商人、ローグ・ワンガ氏は、「その像を見ると、そこに書かれているような、『キラー・キラー』のことを考えてしまいます。つまり文字通り、殺害者のことです。そのような殺害者が、私たちに好意的であったことなど一度もありませんでした。だからその像をなくして、別のものにすべきだと思います。噴水や、マディバ(ネルソン・マンデラ元大統領の愛称)の像なら、誰を傷つけることもないでしょう」と言う。

 23歳の学生、サンベソ・ソクサ氏の意見は違う。

「ポール・クリューガー像の横に、別の人物の像などを建てるというのは、あり得ると思います。例えば(黒人解放活動家の)スティーブ・ビコの像を隣に建てるのはどうでしょうか。決別した過去という意味を持たせるために、隣というよりは上に建てるのがいいかもしれません」と、同氏は言う。

 続けて、「しかし、ポール・クリューガー像をどうしても破壊すべきとは思いません……その像があることで、過去の出来事を思い出し、今後同じことを繰り返してはならないと心に刻むことができるのですから」と、述べている。

 南アフリカの作家、ウィリアム・グミード氏は、像の破壊は、道のりの最初の一歩に過ぎないと主張する。

「人種差別のシンボルを壊すのは重要なことです。破壊活動は何十年にもわたって進められています。私たちは、支配のモニュメントから解放されようと取り組んでいます」と、同氏は言う。

 アフリカの善良な統治を推進するデモクラシー・ワーク・ファンデーションの会長も務めるグミード氏は、「アフリカ諸国は政治家だけでなく、アーティストや社会正義を求める活動家など、さまざまな人物を自国の英雄として称えられるようになるべきだ」と述べている。

「植民地主義者の像を破壊するだけでは不十分です。私たちの歴史について、ポジティブな描写を広めていかなければなりません。アイデンティティを誇れるような描写が必要なのです」と、同氏は言う。

By ANDREW MELDRUM Associated Press
Translated by t.sato via Conyac

Text by AP

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