新型コロナの後遺症は? 治療薬の副作用、精神面への影響も

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◆治療機材による損傷
 重症者の治療に大きな役目を果たす人工呼吸器だが、場合によっては後遺症の原因となることもある。「とくに、圧外傷がこれである。肺の一部が破裂するのだ」(ドクティッシモ)。

 心肺蘇生措置の際の気管挿管も患者の喉の筋肉と声帯を傷つけ、「発声障害と嚥下障害」を引き起こすことがある(「科学と未来」誌 5/15)。発声障害は、「気管挿管中ずっと、舌は低い位置に押しつけられ、(中略)喉の奥までのゾーンがすべて感覚を失う」ことで起こる。嚥下障害は、普段無意識のうちにしている「(液体や固体を)飲み込むときは、呼吸を止めて気道を保護する」ことができなくなる状態だ。この障害は、「唾液や食物、液体が気道に入るリスク」を高め、「それにより新たな肺炎を起こす可能性も高くなる」(同上)。

◆治療薬による副作用
 治療に使われる薬の副作用も無視できない。先ごろランセット誌に掲載された論文の信憑性をめぐって混乱を引き起こしたクロロキンや抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンもそのひとつだ。フランス医薬品・保健製品安全庁(ANSM)は3月30日、不整脈を引き起こす可能性があると警告している。

 そのほか、腎臓専門医ビュルテ教授は、「治療試薬レムデシビルが、腎毒性で知られている」こと、「ロピナビル・リトナビルの組み合わせも小さな腎毒性を示す」ことを指摘している(ドクティッシモ)。

 さらに、キエルゼック医師によれば、「蘇生室で血圧維持のために用いられるノルエピネフリンのような血管収縮薬」にも注意が必要だ。「血管が収縮しすぎると、つま先や手、腕が壊死し、切断のリスクを生む」からである(ドクティッシモ)。同医師は「蘇生室で使われる薬品は、せん妄、記憶喪失、見当識障害などの後遺症の原因になる可能性もある」とも言及するが、幸いなことに、これらの症状は、多くの場合「可逆的である」。

Text by 冠ゆき