ダイヤモンド・プリンセス号が世界に教えた新型コロナの特性

Jae C. Hong / AP Photo

◆貴重なデータ、科学者注目
 豪マッコーリー大学の研究者、デビッド・ベーカー氏は、DP号はどのように新型コロナ感染が広がるかを知るうえでの最高の例だと述べる。なぜなら、船という閉ざされた世界で全員が検査を受けていたからだ。一般の社会では、人口すべてに検査することは不可能なため、正確な感染者数は把握できないとしている(同大学研究ニュースサイト『The Lighthouse』)。

 研究者は、多くの陽性となった乗客が、無症状であったことにも注目している。DP号の陽性者の18%が最後まで無症状だったということで、無症状感染者の捉え方、また彼らが感染を広げるのかを考えるうえで重要な情報となった。DP号での感染者の情報は、イギリス政府の新型コロナウイルス対策への助言となったインペリアル・カレッジの推定モデルにも影響を与えたということだ(BMJ)。

 さらに、閉ざされた環境ではいかに早く感染が広がるかもわかった。とくに乗員への二次感染の広がりから、医療従事者、介護職員など、感染者と接触する人々への感染防止策の重要性もわかったという。また、DP号では60代以上の乗客が多く、新型コロナウイルスの高齢者にとっての危険性を理解することにも役立った。一時心配されていた、空調設備や排水システムからの感染に関しても、これらが感染を悪化させたという証拠はないと研究者たちは結論づけている(BMJ)。

 もっとも、スウェーデン、イギリス、ドイツの研究では、2月3日時点で全員下船していれば、全体の2%の感染で済んだという報告もある(WIRED)。バラニュク氏は、もっとよい解決法があったかもしれないという点では疑問は残るが、DP号の経験は科学者に多くの知見を与えたという点で貴重だと見ている。

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Text by 山川 真智子

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