アフリカの新型コロナ、このまま少ない感染で終わるのか?
◆長く続く感染拡大、懸念される派生的被害
予想されたよりもゆっくり進んでいるとはいえ、アフリカでの新型コロナウイルス感染は、まだまだ安心には程遠いというのが、専門家らの見立てだ。WHOは5月15日、「なんの措置もとらなければ、新型コロナウイルスはアフリカで15万人の死者と2億5000万人近い感染者を出すだろう」と英医学誌BMJグローバル・ヘルスに試算を発表した。また、衛生リスクの分析管理を専門とするミシェル・レジェアス教授は、「(アフリカ)大陸では(新型コロナウイルスの)広がりはもっとゆっくりしていて、ピークはずっと後に来るのかもしれない」(20 minutes 5/13)と見積もっている。
国連エイズ合同計画(UNAIDS)は5月11日、WHOとの共同発表のなかで、新型コロナウイルスの影響で抗レトロウイルス薬へのアクセスが6ヶ月滞った場合、サハラ以南のアフリカでのエイズによる死者が47万人から97万人に倍増する可能性を示唆した。とくに心配されるのは、母から子へのHIV感染である。2010年から18年にかけて母子感染は43%減ったが、予防や治療が中断されればたちまち倍増すると考えられている。
「まずは最悪の事態に備え、ましであるように願う」
アフリカCDCの責任者ジョン・ヌケンガソン博士が3月にrfi放送のインタビューに答えて発した言葉は、まだ有効である。