フランス人はなぜマスクをつけないのか? 「感染防がない」の奥にある本音
◆表情によるコミュニケーション
ところで、そんなフランス人の目には、以前からマスクを日常的に着用する日本人が奇異に映っていたらしい。それを証拠に、フランス語で「なぜ日本人はマスクを着用するのか」とネット検索をかけると、2018年以前に書かれた記事が実に30本以上ヒットする。ちなみに、日本人がマスクをする理由は「自己防衛のため」「まわりに風邪をうつさぬため」「花粉やほこりを避けるため」のほか、「化粧をしていない顔を隠すため」「有名人がパパラッチから逃れるため」「傷やニキビを隠すため」「他人との間に距離を保つため」などが挙げられている。
そのなかで、日本で働くクーリエ・アンテルナショナル紙の記者が、「長い間、マスクをした同僚や友人と対峙するのが苦手だった。なぜこんな落ち着かない気持ちになるのかと考えたとき、微笑みや、顔のしかめ方、唇の持ち上げ方などの表情が、我々西洋人のコミュニケーションにどれほど意味を持つかに考え至った」と述べているのは興味深い。おそらく、フランス人は、顔・表情を隠し、隠されることに胡散臭さを感じずにはいられないのだ。それが感染の象徴であるマスクであればなおのこと、恐怖を呼ぶのではないだろうか。
フランス人がマスクをつけない理由として挙げる「感染を防がない」という教えは、一種の建前に過ぎない。その奥には、敗北を認めたくないという反抗心と、顔を隠し隠されることへの恐怖が潜んでいるように思う。新型コロナウイルスへの恐怖がそれを上回る日、それがフランス人が一律にマスクをつける日になるに違いない。
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