スイス襲う新型コロナウイルス 買い占め、イベント禁止、アジア人差別

中止となったジュネーブ・モーターショー|Salvatore di Nolfi / Keystone via AP

 新型コロナウイルスが、ヨーロッパにも広がっている。人口850万人のスイスでは、2月25日夕方、初の感染者が発生し、1週間経った3月3日夕方の時点で37人の感染が確認された。感染者のほとんどが、感染が一気に拡大している北イタリアを訪問して帰宅した人たちだ。その人たちから感染(国内感染)した人たちが出てきて、スイス連邦保険局は、今後も感染者が増える可能性は非常に高いと見ている。

◆感染者の近くにいた人は、即、自宅待機
 感染者たちと近距離にいた人たちのなかには、自宅待機を命じられた人もいる。感染した幼稚園教諭が働く幼稚園(通園児44人、教諭8人)は即座に2週間閉鎖となり、テニスの元世界女王マルチナ・ヒンギスが挙式したことでも知られる高級ホテルでは、感染した宿泊客1人と近い距離にいたスタッフ数人が2週間自宅待機している。

 現在までに1850人が検査を受けて陰性だった。検査費は約2万円で、今後は健康保険で負担すると政府は発表した。

◆どこよりも早く、国として「イベント禁止令」
 感染者が急激に増えたことを受け、政府は2月28日の朝、1000人以上のイベントを即日から3月15日まで(暫定的に)禁止する措置を取った(この人数に達しないイベントについては自治体などで判断する)。それ以前、自治体レベルでのイベント中止は他国でもあったが、国レベルでの禁止令は周辺国ではなかった。思い切った措置にも感じられるが、政府は「スイス国民の健康を守るためだ」とした。そして翌日、日本でも報道されているように、フランス政府は5000人以上が集まるイベントを禁止する措置を発表した。

チューリヒ空港の出発ロビー(中国の旧正月についてのブースがあった)。マスク姿の人は見られなかった(2月中旬撮影)|Satomi Iwasawa

 世界でも有名な国際自動車見本市「ジュネーブ・モーターショー」(3月5~15日)は、感染者が増加していても開催が予定されていたが、この禁止措置を受けて中止になった。ユネスコ無形文化遺産に登録されているスイス最大のカーニバル「バーゼル・ファスナハト」(3月2日〜3月4日)も中止になった。

 目下、学校は休校になっていない。休校にした場合、共働き家庭の多くでは祖父母が孫の面倒を見ることが予想され、子供たちからリスクの高い高齢者たちに感染する可能性がある。それを防ぐためだと連邦保険局は説明している。スイスでは通勤・通学の時間帯に公共交通機関は混み合ってはいるものの、日本のような満員電車・バスのようにはならないこともあり、まだ、駅や電車に規制は敷かれていない。

 スイスインターナショナル航空は、4月下旬まで、チューリヒと北京および上海の往復運航を停止し、3月末まで、北イタリア方面は減便すると発表している。

Text by 岩澤 里美

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