「見捨てられた」旧東ドイツ市民の不満 極右AfDが2州で躍進した理由

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 ドイツの旧東ドイツ地域2州の州議会選挙で、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が大躍進した。5年前の選挙と比べ、ザクセン州では得票率は3倍、ブランデンブルグ州では2倍となっており、メルケル政権には厳しい結果となった。旧東ドイツでは、ドイツ統一後も東西格差が埋まらず、その不満がAfD支持につながっている。

◆格差深刻 東は政府に見捨てられた?
 ドイチェ・ヴェレ(DW)によれば、ドイツ東部のラウジッツ(ザクセン州東部からブランデンブルグ州南部)は、AfD支持者が多い地域だ。1990年のドイツ統一以来、この地域は唯一の主要産業だった炭鉱が打撃を受け、経済低迷に苦しんでいる。長年にわたり、両州政府は地域への投資を促すプランを立て、それなりの結果も出してきたが、コミュニティは活力を失うばかりだ。住民の多くは連邦政府に捨てられたと思っており、統一ドイツでの繁栄の恩恵に預かれていないと考えている。

 1989年以来、東ドイツから190万人の住民が流出しており、これが社会の停滞の主要な原因だとされている。今日の東ドイツが本来必要とする経済や民主主義の強化に必要な、若く、野心があり、高い教育を受けた人々が減っている。取り残されていくという東ドイツの人々の不安は、西ドイツの市民には理解しがたいとフィナンシャル・タイムズ紙(FT)は説明している。

Text by 山川 真智子