階段座ったら罰金 欧州の「観光客増えすぎ」問題、各地で対策相次ぐ
◆各地で対策実施 これ以上の増加は手に負えない
観光客は大切な収入源だが、多くの観光地では飽和状態だ。欧州各地は、オーバー・ツーリズム対策に向かっている。年間2500万人が訪れるイタリアのベニスでは、一般の旅行者の宿泊代に課税し、今後は日帰り旅行者からも「入場料」を徴収する計画だ。スペインのバルセロナは、市の中心部でのホテルの新規建設を禁止し、人気のボケリア市場に入場できるグループの人数を制限している(ワシントン・ポスト紙、以下WP)。
1900万人が昨年訪れたオランダでも、観光客の増加は地元住民の二次的被害につながっている。アムステルダムでは、歩道から車道にはみ出す観光客に住民が不便を強いられている。酔っ払った観光客による花壇への嘔吐、郵便受けへの放尿などが後を絶たず、公共の場での放尿や泥酔、乱暴な行為に対し、140ユーロ(約1万6000円)の罰金が導入された。市では、ホテルの新規建設を凍結し、Airbnbのレンタルを1物件あたり年間30泊までに規制。人気の赤線地帯ツアーも2020年から禁止予定で、大麻が吸えるコーヒーショップも閉店させ、「観光地プロモーション」よりも「観光地管理」にシフトしている(アトランティック誌)。
◆小さな町にも被害 地元民困惑
大量の観光客流入に悩むのは、従来の観光名所だけではない。WPによれば、オーストリアの小さな町ハルシュタットには、アジアからの観光客が殺到している。ユネスコの世界遺産にも登録された、おとぎ話に出てきそうな美しい街だが、韓国のテレビ番組で人気に火が付き、いまや中国にはこの町を実物大でコピーした観光地まで作られているという。
人口800人のハルシュタットには昨年100万人が訪れた。ビジネスは大繁盛だが地元の物価は上昇。民家の近くにカメラつきドローンを飛ばしたり、個人宅に侵入してのぞき見したり、トイレを使ったりする観光客までいるという。住人は、ここはテーマパークではないとうんざりしているという。公式の注意書きを掲示したり、ツアーバスの数を制限したりして対応中ということだ。