男性でも女性でもない、第三の性「ノンバイナリー」とは

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◆セレブやファッション業界が率先
 イギリスの歌手のサム・スミスも、今年のインタビューで自身がノンバイナリージェンダーであると明かした。いままで自分がノンバイナリーであることに気づかず生活しており、「それは私の頭の中で起きていた拷問」といままでの苦しみを表現し(GQ)、「ノンバイナリージェンダー/ジェンダークィアという言葉を見つけたとき、まさに自分のことだと思った」と語った(ジャミーラ・ジャミールとのインタビュー)。

 また、ファッションの世界でも男女の境界がないコーディネートが発売され、メジャーなブランドでもその取り組みがみられる。無印良品の「MUJI Labo」からも着る人を限定しない「性別のない服」が登場した。これは、ユニセックスのように、男性用の服で女性でも着られそうな服、また逆に女性用の服で男性でも着られそうな服ではなく、ジェンダーが存在しないファッションのことを指している。

 さらに、先月ニューヨークで開催された世界最大のファッションの祭典「METガラ」では、世界中のセレブが普段とは異なる奇抜でありながらも華やかで新しい美を定義するファッションに身をつつんだ。ハリー・スタイルズは、首元に大きなリボンやレースがついた透けた黒のシースルーのブラウスにハイウエストのパンツというスタイルでカーペットを歩き、マイケル・ユーリーの衣装は、左右で黒のストライプスーツとピンクのチュールガウンを組み合わせ、女優のザジー・ビーツは前がタキシードと後ろがウエディングドレスのジェンダーレスな衣装で登場した。

                                                                                                                 

◆広がり続けるインクルージョン
 ファッションに留まらず、テクノロジーやビジネスの世界でもノンバイナリージェンダーについて理解を広めようとする動きがある。たとえば、最近Googleがジェンダーレス絵文字を53種類も追加した。以前は一種類しかなかった顔の絵文字が、まずほかの人種や肌の色もインクルードするようになり、それからLGBTQの人やカップルを追加した。今回は男性でも女性でもない、もしくはどちらとも見える絵文字が増え、それに伴う職種やアクティビティにいたるまでノンバイナリーを考慮して作られている。

 このように、LGBTQとはまた別の区分になるノンバイナリーという性別にも目を向け、多様な生き方や思考を広く受け入れる社会を作っていくことは今後不可欠である。日本では申請書などことあるごとに性別と年齢の記載を求められることが多いが、アメリカでは履歴書に性別や年齢を書くことを禁止している。それらも含め、それぞれが性別についての考えをもう一度考え直すことが必要である。

Text by sayaka ishida