箸でポップコーンを食べると良い事がある? 人生をより楽しむための心理的なトリック

ビジネスチャンス
 もちろん、このアイディアは全く斬新なものだというわけではない。多くの企業が既にこのコンセプトを活かし、顧客により楽しい経験を提供できるような取り組みをしている。

 ベッドの中で、また空中に浮かんだ状態で食事をしたり、また裸のモデルに盛り付けられた食べ物を取って食べる、といったレストランが存在する。客が裸になって食事をする、というレストランすらある。

 『レディット』(米国の出版企業が運営するソーシャルニュースサイト)に掲載されているWeWantPlates(こんな食器があったらいいな)のページには、レストランが客に食事を提供する際に使っている、クリエイティブでごちゃごちゃとしたものが多く列挙されている。流し台の中のナッチョや、物干しロープに吊るされたラビオリなど、様々だ。

 いつもの決まりきったことを提示するためには、際限なく色々な方法があるが、一方で、真新しさはいつもどこかで消え失せてしまうものだ。一つ一つの食べ物を消費する方法に、より多くの多様性を提供しているビジネスにとっては機会を逃すことになると、私たちの調査は示唆している。

 例えば、レストランで数切れのピザを食べるとき、よくあるやり方では、同じ方法で全部食べてしまう。そして、すっかり飽きてしまい、最後の一切れをあまり楽しめないのであれば問題だ。経験に関する私たちの記憶は、最後に起きたことによって大きく形成される。

 流行りの暗闇ダイニングのように、全ての照明を消して食事をより楽しもうとすることよりも、ピザ店は客に対し、一切れずつを色々な方法で食べることをお勧めしてみてはどうだろう。ありがちだが、半分に折ってみる、ひっくり返す、フォークとナイフを使ってみる、箸を使う、目隠しをして、などである。きっと、最初の一切れ同様に、最後の一切れも楽しんで食べてくれることに気づくと思う。

 結論はつまり、多様性とは人生のスパイスなのである。何をするかだけではなく、どのようにするかということ。これを知っておくと、企業も顧客も、楽しみを最大限に活かすことに役立つだろう。

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by Mana Ishizuki

The Conversation

Text by The Conversation