このまま行けば2800年には200万人? 深刻な日本の人口減少

MAHATHIR MOHD YASIN / Shutterstock.com

 厚生労働省が発表した2017年の人口動態統計によれば、2017年に生まれた子供の数は94万6060人となり、公式に統計を取り始めた1899年以来最少となった。死亡数も戦後最多の134万433人となり、人口減少幅は39万4373人と過去最大となっている。このままのペースで人口減が続けば、数百年後には人口は200万人を割ると見られており、日本人消滅の可能性まで語られ始めた。

◆驚異的な人口増のあとに待っていた、急速な人口減
 ウェブ誌『クオーツ』は、日本の人口の推移を驚くべきことだと述べる。1900年には約4400万人だったのが、2000年には1億2800万人にまで増加し、20世紀を通じて着実に増えてきた。増加の理由は主に寿命が延びたことにあったが、多くの夫婦が2人以上の子供を作ったことも貢献していた。

 しかし1947年に4.54だった合計特殊出生率は、1975年には2.00を切り、2005年には最低の1.26を記録した。2012年以来、約1.4あたりをさまよっているのが現状だ。日本政府は2025年末までに、出生率を1.8まで回復させ、2060年には人口1億人を維持することを目標にしている。とはいえ子作りの前段階とも言える婚姻の数は2017年には戦後最低の60万6863件となり、前年から1万3668件も減少している。

◆イタリアに次ぐレベル? 人口減で経済成長停滞
 人口減少は、日本経済低迷の原因にもなっている。フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、日本の人口減が意味するのは急速な高齢化と労働人口の縮小だとし、これが経済成長を妨げると述べる。今年1~3月の実質GDPはマイナス0.2%となり、8四半期連続成長の記録もストップした。低い失業率にもかかわらず、日本は今年G7で最も成長の遅い国であり、過去20年を見ても、イタリアに次ぐ低成長となっている。

 現在の日本の人口は2000年と比べ減少しているが、日本より成長率の高いアメリカは16%増、イギリスは12%増、カナダは21%増となっている。IMFは、高齢化のインパクトが、今後30年にわたり日本の年平均成長率を1%ポイント引き下げる可能性があるとしている(FT)。

◆もう手遅れ? このまま行けば日本人が消える
 人口統計学者たちは、今世紀に日本の人口は急激に減少すると見ている。国連の予測では、日本の人口は2100年には8500万人となり、世界で最も人口が多い30ヶ国のうち、最速で人口が減少する国になるとされている。このまま移民の受け入れ状況や出生率に変化がなければ、日本の人口は2300年までには850万人にまで減少し、2800年までには、なんと200万人以下になってしまうという(クオーツ)。

 日本政府は、若い成人にとって子供を持つことが魅力的だと感じられるよう、様々な施策を行っているが、効果が出ているようには見えないとクオーツはいう。またAPによれば、20代、30代の女性の数が減っており、すぐには出生数の増加を期待するのは難しいと、厚労省の関係者は話している。中央大学の山田昌弘教授も、若者の数が少ないことが婚姻数の減少につながるため、出生率の低下傾向はしばらく続くことが予想されると述べている(AP)。

 最後の可能性は移民受け入れだが、2007年には30万人だった外国人労働者の数が2017年にはほぼ130万人と激増しているにもかかわらず、政府は永住資格の付与をほとんど行わず、長期滞在をさせないよう、家族の呼び寄せをほとんど許可しないとクオーツは指摘する。人口問題の解決には移民受け入れは必要であり、それを拒めば、いつの日か日本人はほとんどいなくなるだろうとしている。

Text by 山川 真智子