韓国大学生86%「金と権力あれば罰せられない」 “財閥優遇”が若者の倫理観に影響か

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 ナッツ姫こと趙顕娥(チョ・ヒョナ)一族のパワハラが騒がれている。広告代理店の社員に対する水かけ騒動を皮切りに暴言を記録した音声データが公開されるなど、財閥幹部に対する失望感が韓国で広がっている。韓国消費者連盟(CUK)が4月に大学生を対象に法意識に関する調査を行ったところ、85%が「金と権力があれば罪はなく、なければ罪をかぶる」と感じており、さらに「法よりも権力やお金のほうが強い」には78%が同意した。法の下の平等に対する期待が危機的レベルにあることがわかった。

◆1億もらえるなら刑務所に入ってもいい?
 韓国には「有銭無罪・無銭有罪」「有権無罪・無権有罪」という言葉がある。お金や権力があれば法を犯しても罰せられず、なければ罰せられるという慣用句だ。大学生3656人に対する意識調査はこの言葉の意味を裏付ける結果となった。

                                                                                                                 

 調査によると、「10億ウォン(約1億円)もらえるなら刑務所で1年間生活できるか」という質問で51.4%が「可能」と回答した。さらに「有銭無罪・無銭有罪」「有権無罪・無権有罪」については85.6%の大学生が同意し、同意しないのは13.0%に過ぎなかった。また韓国社会について「法よりも権力やお金の影響力が強い」と認識している大学生は78.5%に達した。

◆小中高生の倫理意識レベルも低下している
「お金があれば何でもできる」と思っているのは大学生だけではない。興士団透明社会運動本部倫理研究センターが行った2015年の調査では、高校生の56%が「10億ウォンもらえるなら刑務所に入ってもいい」と考えていることがわかった。調査は韓国の小中高生1万人超を対象としたもので、このほか、中学生39%、小学生17%が同様に回答した。このように考える高校生は過去3年間で12%ポイント上昇しており、倫理意識の低下が指摘されている。

 さらに最近の学生は、学校からの課題の答えをネット上からコピーすることに躊躇がないようだ。「宿題をしながらインターネットにある内容をそのまま書き写したことがあるか」という質問には、高校生63%、中学生46%、小学生26%が「ある」と答えた。

◆財閥に屈した韓国司法
 財閥幹部の失態をめぐっては韓進グループ会長の妻である李明姫(イ・ミョンヒ)による暴行・暴言動画が公開されるなどバッシングが続いている。大韓航空側は「会社とは関係のないものなので確認が難しい」としているが、韓国当局はついに事実関係の捜査に乗り出した。

 今年2月には「有銭無罪・有権無罪」を象徴するニュースもあった。憲政史上最悪とされる国政介入事件で起訴されていたサムスン電子副会長の李在鎔(イ・ジェヨン)氏が、控訴審判決で執行猶予付き判決が言い渡され即日釈放となったのだ。判決に対して世論から「司法が財閥に屈した」との批判が殺到した。

 多感な時期にある10代がおカネと権力で無罪になる姿を見れば、倫理意識が低下するのも無理はないのかもしれない。

Text by 古久澤直樹

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