出生時に父親に似ている赤ちゃんのほうが1年後に健康 米大学調査

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 父親の育児参加が世界的に叫ばれる昨今。米大学は今年3月、父親が育児に参加する必要性を裏付ける調査結果を新たに発表した。米ニューヨーク州・ビンガムトン大学の共同研究チームによると、出生時に父親に似ている赤ちゃんはそうでない赤ちゃんより健康的であることがわかった。調査を行ったソロモン・ポラチェック教授は「父親は子育てするうえで重要な存在であり、子どもの健康に影響を与える」とした。しかし、なぜ父親似のほうが健康的になるのだろうか。

◆自分に似ていると父親としての自覚が出る
 南イリノイ大学と共同で行われた「家庭と子どもの健康」に関する同調査では、715世帯の母子家庭が対象となった。データ分析を行った結果、出産時に父親に似ている子どもは、父親に似ていない子どもよりも、1年後に健康的だった。理由として、父親が子どもと過ごす時間の長さが大きく影響しているようだ。子どもが自分に似ている父親のほうが、似ていない父親よりも平均して月2.5日ほど、子どもと過ごす時間が長かった。同教授は「(自分が)赤ちゃんと似ているとわかった父親は赤ちゃんが自分のものだと確信する。だから多くの時間を赤ちゃんに費やすことができる」と述べる。

                                                                                                                 

◆父親の育児参加がより良い環境を構築する
 同調査は家庭における父親の重要性を示すだけではなく、父親の積極的な育児参加をうながす政策を支持するものだとしている。「子どもが父親に似ているとき、子どもの健康指標が改善することがわかった。おもな要因は、父親が子どもの元へ頻繁に訪れることで、世話や監視する時間が長くなり、子どもの健康や必要な物資に関する情報を収集するようになるからだ」と同教授は説明する。

 米国や英国では一人親世帯の割合が増えており、子どもと一緒に暮らさない父親は「ノン・レジデント・ファザー」として社会問題になっている。米国の18歳未満の1720万人(約25%)は母親とのみ暮らしており、このうち4割は食事が十分に摂れないなど貧困状態にあるとされる(2016年)。父親不在の家庭は経済的貧困におちいりやすく、社会的ネットワークから孤立しやすい。特に低所得の母子家庭では疾病の発生頻度をあらわす罹患率の高まりも懸念されている。

「子どもは父親似のほうが健康的」という今回の調査結果は、母親に似ているか父親に似ているかの遺伝子が原因によるものではない。あくまで父親と子どもの接触頻度といった後発的な外的要因による影響が大きいという結論だ。報告書のなかで同教授は「子どもの健康に対する父親不在の影響はまだ十分に研究されていない」としたが、子どもの健やかな成長が将来の教育、成人時の健康、最終的には労働市場での成功に強く結びついていると主張する。

 父親が育児に参加するというのはシンプルだが、さまざま社会的要因や家庭事情から状況は複雑化している。一人でも多くの子どもが健康的になるためにも親子が自然と触れ合える社会を目指したい。

Text by 古久澤直樹

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