「ただの復讐」あるMe Too告白に批判が殺到 問われる告発者の責任

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 ハリウッドの重鎮プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン氏のセクハラ・性的暴行疑惑が公になった後、一躍ムーブメントとなった「#MeToo」運動。エンターテインメントを始め、ビジネスや政治などさまざまな業界、または民間でも様々な女性、そして一部の男性が「私もセクハラを受けた、性的暴行を受けた」とカミングアウトしてきた。しかしそんな中で「#MeToo」が「魔女狩り」になっているのではないかと危惧する声も聞かれるようになった。

 そんな折、ウェブサイト『ベイブ(Babe.net)』が1月13日付の記事で、米コメディアンのアジズ・アンサリ氏とデートし、「性的暴行を受けた」と言う匿名女性(23歳)の体験を掲載して注目を浴びた。

                                                                                                                 

◆「気持ちを読めない」男性への不快感が怒りに変わるとき
 女性はアンサリ氏とパーティーで出会った後、デートに誘われて出かけた。その後2人は彼の自宅に行き性的行為におよんだという。その際、アンサリ氏の押しが強かったことから、女性は「不快感」を感じ気分を害したようで「態度で示した」「不快感をつぶやいた」と言うが、「NO」とはっきりアンサリ氏に伝えたわけではなかった。

 女性はその後、アンサリ氏と性的行為におよんだことを後悔し、この体験に「性的暴行」というレベルを貼ってメディアで告発したという経緯である。

 この体験談を読む限り、女性は自分がアンサリ氏に軽い扱いを受けたことにショックを受け、関係がロマンスに発展するように見えなくなったことで一気に興ざめしたようだ。そしてアンサリ氏の押しの強い欲望に不快感を感じて「精神的に」葛藤したように思える。

 また、女性の言い方は「言葉ではなく態度で示した」「(もごもごと口の中で)呟いた」「不快感を感じた」「体を離した」など、どれも相手に明確に伝わっていると思えず、自分の気持ちを読んでくれなかったアンサリ氏に対し怒りを感じている様子がみられる。

 男性の部屋に付いて行って裸になり、「NO」と言わず、心の中では不快感を感じたが嫌々付き合っている……というシナリオでは「性的暴行」と呼ぶことは出来ないだろう。
 
◆行き過ぎた「性的暴行」解釈に批判が続出
 記事公開後、案の定、人々からの批判が始まった。CNNのニュースアンカー、アシュリー・バンフィールド氏は、アンサリ氏との体験をメディアに公開したこの匿名女性に対し、「『思うようにいかななったデート』の体験をメディアに公表するのは最低だ。あなたはアンサリ氏を公的に追及して彼のキャリアを終わらせようとしているのか」「あなたは『#MeToo』ムーブメントに傷をつけた」と番組中で厳しく発言(CNN)。

 またアトランティック誌(電子版)でケイトリン・フラナガン氏は「これは、(アンサリ氏から)愛情や優しさ、注目を受けることに失敗した女性と、(記事を書いた)ライターによる3,000字のリベンジポルノだ」と指摘した。

◆独り歩きする「#MeToo」ムーブメントへの警鐘
 この女性にとって、アンサリ氏との「思うように進まなかったデート」は自尊心を傷つけられ、後悔する出来事であったことだろう。しかしだからといってこのような体験が「性的暴行」に当てはまるということにはならない。女性の体験を読む限り、少なくとも後悔すべきことの半分は彼女自身の責任であるはずだ。

 多くの人々にとって、アンサリ氏を追及するこの女性の体験記は「#MeToo」ムーブメントへの警鐘となったことだろう。アンサリ氏の名誉とキャリアはこの女性の告発により大きく傷つけられた。このような状況では告発した側に大きな責任がのしかかることを、私たちは心に留めておかなければならない。

Text by 相馬佳

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