「電車が20秒早く出て謝罪??」海外が驚く日本の正確性と謝罪文化

LERK / Wikimedia Commons

 11月14日、つくばエクスプレスの普通列車が南流山駅を予定より20秒早く発車した。運営会社のニュースリリースによると、9時44分40秒が定刻のところ、同20秒に発車してしまったという。乗務員が時刻表を十分に確認しなかったことが原因のようだ。遅延ならともかく、わずか20秒の早発で謝意を表明したこの出来事は、とても日本らしい話題として海外メディアとSNSを賑わせることになった。

◆正確さを強調
 海外には数時間も遅れる路線もあるようで、20秒の誤差でリリース文を発表した日本の鉄道をうらやむ声が後を絶たない。BBCでは「(早発は)なぜかイギリスではお目にかかれない……」という、英鉄道会社への皮肉たっぷりのツイートを紹介している。

 アメリカのSNSユーザも同感のようだ。ニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたツイートは、「ニューヨーク市の交通局はフルタイムの謝罪チームを雇わなくては」と、遅れの慢性化をからかう。

 BBCは「日本は世界で最も信頼できる鉄道の一つが走る国であり、予定外の時刻に発車することは稀である」と日本の列車の正確性を改めて強調している。うっかり早めに出発したところ、世界から称賛を浴びるとは同社も予想していなかっただろう。

◆きちんとお詫びができる会社
 時間に正確な気質に加え、よく丁寧に謝罪をするのもまた日本人の典型的なイメージだと言えるかもしれない。たった20秒の早発でお詫びする丁寧な対応には、海外から驚き声が出ている。

 インドのインディアン・エクスプレス紙では、むしろ早く出発したのに謝っている今回のケースに驚いた様子だ。インドでは、会社に間に合わないほどの遅れが出ても、鉄道会社からの謝罪はあまり聞かないという。また、日本の鉄道会社は遅延証明書を発行するという事実を紹介し、遅れに対するきちんとした対応を賞賛している。

 英テレグラフ紙によると、20秒で謝罪した日本に対し、イギリスの鉄道は2時間ほど遅れないと謝意の表明には至らないという。

 英ガーディアン紙は、たとえ今回の早発で乗り逃した乗客がいたとしても4分後には次の列車が来ていたことに触れ、わずかな影響でも丁寧な説明をする姿勢を好感している。

 ニューヨーク・ポスト紙では早発の件で特に苦情がなかったことを伝えた上で、むしろ20秒早く着けて良かったのではないか、と飄々としたトーンの記事を展開しているのが印象的だ。

◆過去の意外なニュースの連想も
 昔のニュースとの関連を見出すメディアもある。ニューヨーク・タイムズ紙は、日本の企業がアイスクリームを10円値上げするにあたり、謝罪CMを流したという出来事を振り返る。鉄道の件とは異なるが、なにかと丁寧にお詫びする日本企業の姿勢に、同紙は共通項を見出したのだろう。

 ちょっとした話題が世界に広まった今回のニュース。丁寧なお詫び、時間に正確な日本人の気質、優れた輸送システムなど、日本らしさがギュッと詰まっていたことが、世界が思わず頰を緩めたポイントなのかもしれない。

Text by 青葉やまと