「銃のない日本のようになれたら……」特異な制度、文化を紹介する欧米メディア

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 ラスベガスで起きた銃乱射事件を受け、銃所持の是非をめぐる議論が世界的に高まっている。欧米のメディアが模範例として伝えるのが、日本の厳しい銃規制だ。平和を希求する文化に加え、銃規制のプロセスが機能しているとして高く評価されている。

◆世界で初めて銃を規制 年間死亡件数は1名
 一説によると、日本は世界で初めて銃規制を行った国であるようだ。ビジネス・インサイダー誌は、イギリスの銃規制派団体のコメントとしてこうした見方を伝えている。第二次世界大戦後、1946年の銃砲等所持禁止令により銃砲等の所持を禁止。以降、禁止ではなく規制へ移行したが、制約は依然として厳しい。銃所持の自由を認めたアメリカの憲法修正第2条とは大きな差だとして、同誌は日本のアプローチを評価している。

 BBCはさらに遡り、17世紀の日本の制度を紹介する。1685年までは銃を放棄することで報償を得られる制度があった。これはおそらく世界初の(治安維持を目的とした)銃の買取り制度だったとのことだ。こうした歴史的経緯もあり、2007年の銃所持率は日本人100人あたり0.6丁に留まる。イギリスの6.2丁、アメリカの88.8丁との開きは顕著だ。

 ワシントン・ポスト紙では、2015年にはアメリカでの銃による死亡者数(自殺を除く)が1万3000名だったのに対し、日本では1名だったと伝えている。ビジネス・インサイダー誌は、他の年でも10名を超えることはほぼないと強調している。

◆狩猟目的でも厳しい審査……抜き打ち検査に身辺調査も
 では、日本の銃規制は実際のところどれほど厳しいのだろうか? ワシントン・ポスト紙はある夫婦の例として、アヒル猟に使う猟銃を取得するまでに実に4ヶ月を要したと紹介している。講習会、試験、警察への申請、精神鑑定を行い、やっと許可証が発行される。続いて警察での面談、犯罪履歴データベースへの照会、射撃場で訓練と試験にパスする必要がある。保管場所の抜き打ち検査などを経て、銃を持ち帰るまでには開始から4ヶ月ほどかかるようだ。

 厳格なプロセスはビジネス・インサイダー誌でも触れており、前述の射撃場での試験では95%以上を命中させる技術が要求されるとのことだ。BBCによると警察の検査も厳しく、薬物検査のほか、周囲の人間が過激派と関わっていないかなども徹底的に洗い出される。また、銃器店の数も制限されており、各都道府県で3店舗までしか許可されない。ラスベガスの事件では、ネバダ州で銃が手軽に手に入ることが問題視された。日本の審査プロセスは確実に機能しており、安全に貢献していると言えるだろう。

◆銃ではなく柔術で応戦 発砲に頼らない日本警察の功績
 民間に銃が浸透していないことは日本社会の大きな特徴だが、警察と拳銃の関わりもまたユニークだという指摘がある。BBC(1月6日)では、日本の警察が犯罪者に対して、主に柔道や剣道などの技術で応戦していると紹介する。銃の練習よりもこうした技量の習得に時間をかけており、2015年の警官による発砲はわずか6弾であったとする。BBCの本拠地であるイギリスは比較的銃規制が厳しいが、それでも同社の記事は「(日本の)人々は常に平和が維持されると信じており、そのような文化があれば、武装したり平和を破壊する品を所持したりする必要はない」と感服している。

 ビジネス・インサイダー誌(10月12日)は、アメリカの警察と比べる形で日本を賞賛する。アメリカでは警察が自動小銃や武装車両を導入し、市民の信頼を損ねている。犯罪集団との武装競争を繰り広げており、完全に悪循環に陥った格好だ。「アメリカの生活の特徴である無意味な暴力」から脱却するため、日本のアプローチが参考になると記事では推薦している。

 日本で生活していると、安全のありがたさを意識する機会は少ない。当たり前に感じている銃のない社会だが、手本にしたいという欧米の意見を通じてその価値に気づかされる。

Text by 青葉やまと

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