米紙「慰安婦像、日本がむきになると逆効果」 サンフランシスコでは「慰安婦の日」

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 9月22日にサンフランシスコのチャイナタウンで慰安婦像の除幕式が行われる。アメリカの主要都市としては初となる像の設置に、日本領事館は抗議声明を発表している。アメリカメディアの間でも、韓国の一方的な見解を示した像を設置することはフェアではないとする日本側の立場が伝えられている。ただ、日本人は像の問題で過剰に反応しすぎるとの指摘も出ているようだ。

◆慰安婦像には日本を刺激する碑文
 除幕式を前に、ワシントン・ポスト紙(9月21日)では慰安婦像の概要を紹介している。この像はサンフランシスコの中心街に位置するチャイナタウンに設置されるもので、手を繋いだ3人の少女とそれを見守る祖母の像からなる。像に刻まれた碑文は日本を刺激するものだ。一部を引用すると「この像は大日本帝国軍によって性奴隷化された、遠回しには『慰安婦』と呼ばれる数百・数千の女性と少女らの苦しみの証拠である」と書かれている。

 NBCによると「戦争の戦略としての性的暴力は人間性に対する犯罪」などとも5ヶ国語で記述されている。除幕式を控え、サンフランシスコ市の管理委員会は9月22日を「慰安婦の日」に制定したとのことだ。

 日本側は不快感を示しており、山田淳サンフランシスコ総領事は、像の設置によって本来ならば理解の念を抱く日本国民を感情的にさせると反発している。地元紙サンフランシスコ・クロニクルではこうした主張を含む総領事の声明が全文掲載されており、日本側の見解も現地に伝わっている模様だ。

◆一方的な見解に基づくアンフェアな慰安婦像
  設置には反対の声も多かったようだ。NBCによると、2015年に像の設置が決まって以来、これに反対するメールが300通ほど寄せられているという。また、姉妹都市である大阪府の橋下知事(当時)からも抗議のメールが届いたとのことだ。記事では前述の総領事の声明を一部引用し、韓国の一方的な立場からの解釈を像という永続性のある形で表現することは問題だ、とする意見にも触れている。

  一方、韓国大手通信社の聯合ニュース(9月21日)は除幕式に先立ち、「大日本帝国の性奴隷化は『歴史的事実』」と題した記事を掲載した。韓国外務省が記者会見を開き、韓国人女性の性奴隷化は疑う余地のない事実だとコメントしたようだ。日本政府が性奴隷化に関与したとする証拠の翻訳文を韓国の大学教授が公表したとのことで、これを受けての記者会見となっている。慰安婦がフェアでないとする日本側に対し、韓国側は「歴史的証拠」に盛り上がりを見せている様子だ。

◆慰安婦像は日本に悪影響をもたらすか?
  ワシントン・ポスト紙によると慰安婦像はこの6年間で世界中に設置されており、韓国に40体、アメリカに10体がすでにあるほか、ドイツやオーストラリアなどにも存在する。こうした像は日本の国際的評判に影響し、特に軍事力に頼らないソフトパワーを主軸にした「クールジャパン」を推進する上で不利に働くと見る。

  しかし同時に、日本人は慰安婦像の問題に過剰反応していると同紙は指摘する。ジョージ・ワシントン大学の国際関係の教授は、日本政府が像に執着することで、活動家らにやりがいを与えていると見ているようだ。ダートマス大学の同分野の教授も、日本人は世界からどう見られるかを非常に気にする性質があるとコメントしている。

  300通ほどの抗議メールが寄せられたというNBCの報道に上で触れたが、ワシントン・ポスト紙によると、実はその大半は日本人の個人からだったとのことだ。アメリカに設置された像だが、現地の反応は薄い。カリフォルニア州にある別の像に関しても、撤去を求めた上訴が審議に入る前に却下されており、像の設置自体を問題と捉える見方は浸透していないことが伺える。決して日本の評判を高めるものでないものの、毎度騒ぎ立てるほどのことではないと同紙は静観しているようだ。

Text by 青葉やまと

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