「日本は気軽にナチスを扱ってしまう」 麻生氏のヒトラー発言、海外に波紋

flickr / CSIS

 麻生太郎副総理兼財務・金融相がヒトラーに言及した発言をして批判を浴び、発言を撤回した。麻生氏は2013年にも、憲法改正の議論について、ナチス政権下のドイツの「手口を学んだらどうか」と発言して撤回している。これまでも「失言」が多かった麻生氏だが、またナチス・ドイツ、ヒトラーを例に出してしまった。首相まで務めたトップの政治家が同じ過ちを繰り返したことに人権団体はもちろん、海外のメディアも反応している。

◆麻生氏だけではない、日本の要人の失言
「ヒトラーと比べることは、絶対に、決して議論に勝つための賢い策略ではない。20世紀で一番嫌われている、大量虐殺を犯したマニアックを引き合いに出すのを止められない日本の政治家にこれを知らせなければ」と、麻生氏の発言に呆れた様子なのがアジア・タイムズのウィリアム・ペセック氏だ。

 ペセック氏は6月末の、日本銀行政策委員会審議委員である原田泰氏がヒトラーの経済政策を正当化するような発言をしていることに触れ、ユダヤ人権団体サイモン・ウィーゼンタール・センターが発した非難声明を紹介している。同センターは、「日本の要人が、ヒトラーとナチス・ドイツが行なった一部のエレメント(政策など)に対して感嘆の念を表したのは初めてのことではない。一つひとつのこのような事件は、日本の近隣諸国と友好国の間に深い不安をもたらすものである」として、度重なる失言に、国内だけの問題ではなく外交にも影響するとして問題視している。

◆ナチス言及は日本人の無知から?
 CNNは今回の問題を受けて、「ナチスとの比較、彼らが使用していた象徴や(ユニフォームなどの)道具類を気軽に使用するというのは、日本や多くのアジアの国の問題である」と書く。例えば、昨年の欅坂46のステージ衣装騒動だ。アイドルグループがナチス・ドイツの軍服に似た衣装を着たのはハロウィンコンサートである。偶然の一致ではなさそうで、製作者はハロウィンということでまさに、“気軽に”ナチスの軍服に似せたのだろう。

 一連のナチス言及の不祥事について、サイモン・ウィーゼンタール・センターのラビ・アブラハム・クーパー氏は(日本人には)もっと教育が必要だとして、CNNのインタビューに「根本的に何かが無く、欠けているものがあるのです。それは間違いなく日本の良い印象に影を落としてしまいます」と答えている。

 ラビ・クーパー氏は、麻生氏の前回の失言の後すぐに同氏に面会したという。「(麻生氏は)無知だったが、敵ではないと思った」と述べる。

 ガーディアン紙は、高須クリニックの高須克弥先生が、「ナチスは偉大」、「科学に貢献した」という旨のツイートをしていたとして問題になっていることに言及している。確かに、ナチス・ドイツ下では様々な実験が行なわれたという。人体実験など、普通では考えられない実験も行われたといわれており、高須氏が読んだ資料には何か驚くような結果が綴られていたのかも知れないが、それを「ナチスは偉大」という表現で発信してしまうところにセンシティビティの欠如を感じてしまう。

 最近ではハロウィンのコスチュームとして、ナチスはもちろん、芸者、インディアンなどコスチュームではないものを衣装として着ないという傾向があり、小学生でもそれらの衣装は避けるようにしているところがある。そういった世界のセンシティビティのスタンダードや動向について、日本はもっと注意を払い、学ぶ機会を持つ必要があるのではないだろうか。

Text by 西尾裕美

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