赤ちゃんは一人で寝かせたほうが良い? 9ヶ月以内に部屋を別にすべきと米研究

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 子供を持つ日本人の親の多くは赤ちゃんと一緒の部屋で眠りについているだろうが、アメリカでは既に一才未満の段階で赤ちゃんに個室を与えるべきか否かが論争となっている。親と離れて寝る赤ちゃんの方が長く睡眠時間をとることができることが研究により明らかとなっており、なんと生後9ヶ月の時点から親子別々の部屋に寝ることが推奨されているという。

◆たった一年間のベッドルームのシェアでも長過ぎる?
 個人の自立を重んじるアメリカでは赤ちゃんにも個室が与えられる。これまで米国小児科学会(APP)の見解では、生後一年までは赤ちゃんとルームシェアすることが理想的だそうだ。というのも赤ちゃんを両親と同じ部屋のベビーベッドや揺りかごに寝かせた場合、SIDS(乳幼児突然死症候群)のリスクが50%も低下するというのだ。

 しかし、今年6月に米国小児科学会のジャーナル「Gateway」に掲載されたペンシルペニア州立大学の研究によると、一年間も赤ちゃんと両親がルームシェアをするということは、赤ちゃんの健康にとって致命傷ともなりえるという。研究では最長でも9ヶ月以内には赤ちゃんを別の部屋に寝かすことがいいのだという。

◆睡眠時間に大きな隔たり
 同大学は279組の親と赤ちゃんを対象に、30ヶ月に渡って赤ちゃんの睡眠時間に関しての調査を実施した。調査に参加した親子には、早く生後4ヶ月以内に別々の部屋に寝ていた親子、生後4-9ヶ月の間に別々の部屋に寝ていた親子、生後9ヶ月を過ぎた段階でもルームシェアをしていた親子という主に3つのタイプがいた。

 3つのタイプ間での赤ちゃんを観測したところ、生後4ヶ月の時点で合計の睡眠時間に3つのタイプ間で変化が見られなかった。しかし9ヶ月の時点では睡眠時間に顕著な相違が観測された。4ヶ月以内に独立した赤ちゃんは平均627分の睡眠時間に対して、4-9ヶ月の間に独立した赤ちゃんは平均601分、9ヶ月後もルームシェアしていた赤ちゃんは平均587分の睡眠時間であった。

 また30ヶ月に渡っての調査において、9ヶ月までに独立した2つのグループの赤ちゃんは、9ヶ月以後もルームシェアをしていた赤ちゃんのグループよりも平均45分多く睡眠をとっていたということが明らかとなったという。つまり、親子でのルームシェアを9ヶ月過ぎても行なっている場合、赤ちゃんは睡眠不足に陥りやすいということのようだ。

 また、最も厄介なデータとして紹介されていたのが、ベッドシェアリング(親子が同じベッドで寝ること)についてだ。9ヶ月以降もベッドルームシェアをしていた赤ちゃんの親は、ベッドシェアリングをする確率が4倍であるという。なお、米国小児科学会はベッドシェアリングを行わないよう強く推奨している。

◆赤ちゃんの睡眠不足が孕む様々なリスク
 赤ちゃんの睡眠不足は、様々な病気のリスクの増加につながる。同大学によると、睡眠不足はほぼあらゆる領域に渡って健康に害があるそうだ。まず幼児期の睡眠不足は感情の抑制や気分、ふるまいといった精神的側面に悪影響を及ぼす。また、こうした赤ちゃんの頃の睡眠不足は、後の幼少時代の睡眠にも悪影響を及ぼすという。それに赤ちゃんの睡眠不足は両親にも時には深刻な被害をもたらす。両親も睡眠不足に陥ってしまうことがあり、メンタルバランスを崩してしまうケースがあるのだという。

 いずれにしても、アメリカでは赤ちゃんを別の部屋に寝かせること自体は常識といってよさそうだ。9ヶ月までとは言わなくても、赤ちゃんは幼児期全てに渡って親と一緒に寝るということはあまりないようだ。日本では赤ちゃんから目を離すことを不安に思う親も多いだろうが、こうしたアメリカでの研究結果がいつか日本人のライフスタイルに変容をもたらすときも来るのかもしれない。

Text by Yota Ozawa