英国人がテロなんかで動揺するわけないだろう! ツイッターで反骨の大喜利合戦

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 3月からわずか2ヶ月半ほどで3件のテロ事件が相次いだイギリスだが、アメリカのメディアがこぞって「テロに揺れるイギリス」と報じた。しかしイギリス人からは「私たちはこんなことじゃ動じない!」と反発の声が上がり、ツイッターでは「私たちが揺れるのはこんな時」というハッシュタグで、大喜利合戦が展開された。

◆「揺れるイギリス」と書かれ物申す
 イギリスでは、3月22日からのわずか約2ヶ月半で、3件のテロ事件が起きた。ロンドンのウェストミンスターで3月に発生した自動車と刃物でのテロ事件と、5月22日にマンチェスターで行われたアリアナ・グランデさんのコンサート会場で発生した自爆テロ事件と、そして先日6月3日にロンドン橋とバラ・マーケットで発生した自動車と刃物によるテロ事件だ。

 アメリカでは、CNNやフォックス・ニュース、ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)などの大手メディアがこぞって、「テロで揺れるイギリス」などと報じた。BBCによると、例えばNYTは4日、一面で「ロンドンで攻撃、2週間前のマンチェスターでの爆弾事件でいまだ揺れる国民を襲う」と見出しを付けた記事を掲載した。

 しかしイギリス人は黙っていなかった。「私たち、こんなことじゃ動じないけど!」と反発する人たちが、「#ThingsThatLeaveBritainReeling」(イギリスが揺らいでしまう物たち)というハッシュタグを付けてツイッターに投稿し、「イギリス人が揺らいでしまうのはこういう時だ、テロなんかじゃない!」と主張する大喜利合戦が始まったのだ。BBCによると、このハッシュタグがツイッターでトレンド入りし、NYTは見出しから「揺らぐ」という表現を削除。現在の見出しは、「ロンドン中心部で再びテロ攻撃」に変更されている。

◆「私たちが揺れるのはこんな時」
 ツイッターユーザーのDanielさんは、戦時中と思われる瓦礫の中で牛乳を運ぶ男性の写真とともに、「イギリス人がパニックを起こすのは、紅茶に入れる牛乳がなくなった時」とツイートした。Dan Rigsbyさんは、「トイレットペーパーが逆向きに付けられている時」、Karen Moseleyさんは「チョコバーをかじったら、キャドバリーじゃなくてハーシーズだった時」(キャドバリーはイギリスを代表するチョコレート・メーカーで、ハーシーズはアメリカ最大のチョコレート・メーカー)が、自分が揺れる時だとそれぞれ主張した。

 他にも、「エスカレーターで左側に立っている人」(ロンドン地下鉄では左側を空けて立つ)、「行列にちゃんと並んでいない人」、「thereとtheirとthey’reを正しく使わない人」や、「会社で紅茶が切れた時」、「Wordが勝手に英語から米語に変える時」などの声があった。

◆「落ち着いていつも通り」を体現した人
 また、アメリカで番組司会者として活躍するイギリス人のジョン・オリバー氏は自身の番組内で、「イギリス人は絶対に、テロのせいで生き方を変えるようなことはしない」と断言した。その証拠として紹介したのが、テロ現場から走って避難しようとする人たちの中にいた、ビール・グラスを片手に逃げる男性だ。このような緊急事態においてもビールを手から離さない彼こそ、イギリス政府が第二次世界大戦中に国民に向けて制作したポスターの「Keep Calm and Carry on(落ち着いて、いつも通りの行動を)」というスローガンそのものだ、とオリバー氏は絶賛した。

 ロンドンの地元紙メトロは、この男性が「一滴もこぼさずに」走って逃げたとして、「ロンドン・スピリットのシンボルだ」と報じている。

「テロに屈しない」と口で言うのは簡単だ。しかしイギリス人たちは、悲しく衝撃的なテロ事件が相次ぐさなかにも、皮肉たっぷりのイギリス人らしい笑いを忘れず、テロに不屈の精神を示している。

Text by 松丸さとみ

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