新国立競技場は「粗大ゴミ」「亀」 建築家・磯崎新の発言に海外メディア注目

 2020年に開催される東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる予定の新国立競技場について、建築家の磯崎新氏は5日、報道関係者に対し、「将来の東京は巨大な『粗大ゴミ』を抱え込むことになる」との意見を表明した。

◆当初案
 2年前に選ばれた新国立競技場のデザインは、イラク出身でロンドン在住の建築家ザハ・ハディド氏によるもので、安上がりだったと言われるロンドン五輪メイン会場の3倍の大きさがあった。

 ガーディアン紙が「絡み合う白い腱」がトレードマークと表現するこのデザインはハディド氏が「日本の建築および都市を30年にわたって研究した成果」だという。

◆これまでの批判
 「庭園に投げ出された巨大な白いヘルメット」と酷評されたこのデザインに関しては、当初から批判が多かった。

 ガーディアン紙によれば、最初に建築家の槇文彦氏が「大きすぎるのではないか」と疑義を呈すると、伊東豊雄氏、隈研吾氏、藤本壮介氏らが同調、支持署名は3万2000人分に及んだという。

 英BBCによると、槇氏が一番問題にしたのは、技術的に困難で高くつく巨大な引き込み式屋根だという。スポーツに屋根はいらない。

 ではなぜ屋根があるのかというと、オリンピック後、コンサート会場に転用する案があるからだという。屋根無しではうるさいからだ。

◆修正案
 批判を受けて日本スポーツ振興センター(JSC)は、ハディド氏にデザインの見直しを要請した。

 ガーディアンによれば、建設費は当初1300億円が見込まれていたが、その後の試算により最大で約3,000億円にまで膨張することが明らかになったため、床面積を25%削減し、建設費を1785億円に削減することになったという。

 それでも、ロンドン五輪メイン会場の2倍である。

◆磯崎氏の主張
 ところが、今回の磯崎氏の主張は元のデザインに戻せというもので、修正案について「当初のダイナミズムがうせ、列島の水没を待つ亀のような鈍重な姿に失望した」と語っている。

 磯崎氏は新しい条件下で改めてハディドさんにデザインを依頼すべきだという。「プロポーザル選びにこだわり建築家を選ばなかったため、道を迷うことになった」(オーストラリアの通信社AAP)

 同氏は、異例の競技場外での開会式開催を提案しており、皇居の外側に、江戸城の城壁を使った専用の会場を作ればいいと述べている。「開会式はメイン競技場で行うという慣例を超えるチャンス。10億人がテレビで見るにはこのほうがふさわしい」(ガーディアン)

 舛添東京都知事も最近、東京五輪の会場計画を見直したい意向を示しているだけに(AAP)、今後の成り行きが注目される。

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Text by NewSphere 編集部