“悲しいサンドバッグ”日本のサラリーマン、脱長時間労働、生産性向上を実現できるか

 満員電車、深夜残業に飲み付き合い。日本サラリーマンの「典型」として長きに渡り世界でも有名な日本の労働環境だ。しかし少子高齢化による労働人口の減少に伴い、これまでのやり方では行き詰まると言われている。日本の働き方は今後どうなっていくのか。

◆若者と労働事情の変化
 AFPは、「日本のサラリーマン 悲しいサンドバッグは株式会社日本の歩兵」と題する見出しで、日本の労働環境の変化について報じている。

 同メディアは、従来の終身雇用制が行き詰まる一因として、長引く不景気により現在の若者が祖父、父の時代と考え方が変わっていることを挙げる。

 戦後のサラリーマンは「勤務先へ人生を捧げる」ことと「安定」を交換条件とする取引を行ってきた。それは最も一般的な「社会契約」であった。彼らは戦後日本に奇跡的な復興と成長をもたらした兵士であった、とAFPは表現している。

 しかし、バブルの崩壊後、社会側がその契約を反古にした。人生を捧げても、見返りの安定が得られなくなったのだ。一方が約束を守らないのにこちらが忠誠を誓うわけがない。そこで現在の若者は、先代よりも就職に対する執心が低い、とテンプル大学のジェフリー・キングストン氏は指摘する。

◆女性活用にはまず社会を変える必要
 アメリカのシンクタンク、ブルッキングス研究所のサイトに寄稿したNHKの解説委員、道傳愛子氏は、日本の労働問題解決の要として女性の活用を挙げており、そのためには、日本の社会全体で以下の3点をクリアしなければならない、と述べている。

 まず、各企業が「女性を取り入れることによる多様性がもたらす恩恵」を認識すること。2010年の政府調査によると、家計は女性が管理しているという回答が74%であった。ということは、消費のカギは女性が握っているのだ。ならば女性を多く登用し女性目線の商品を開発すれば経済はより活発になるということである。

 次に、伝統的な男女の役割観を変えること。2012年の政府調査によると、今なお51.6%と半数以上が「女性は家のことをやって、男性が一家を養うべき」という考えを持っているという結果がでているという。この役割観により、多くの女性が出産を機に会社を辞めてしまう。そのため企業側も、どうせすぐ辞めてしまう女性に責任あるポジションは与えない、という悪循環になっており、これを徹底して改める必要がある。

 最後に「大切なのは労働時間の長さではなく生産性である」という事実をよく理解すること。残業が当たり前の風習では子育て中の勤務は無理である。さらには、飲み会などの半強制的な「勤務後の付き合い」も見直すべきである。

 バブルの時代、栄養補給ドリンクは「24時間闘える」ことを売りにしていた。しかし今は同じ品が「3〜4時間分のパワーを補給」とうたっている。もはや誰も「24時間闘いたくない」時代であることにメーカーが気づいたのだろう、と氏は述べている。

◆でも残業がないと不安?
 一方、ロイターのコラムは、4月の消費税増税以降、残業時間は急激に減っている、と指摘している。

 筆者のアンディ・マクヘルジー氏は、残業時間の長さこそ日本経済を計る基準として信頼できる指標であり、2008年の世界金融恐慌では残業時間が20%も減少したと述べる。

残業時間減少で収入が減っている一方、増税で支出は増えている現状について、政府は何らかの手を打つべきと氏は主張している。

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Text by NewSphere 編集部