全原発停止で、貿易赤字拡大か アベノミクスへの影響を海外紙が分析

 16日、国内で唯一稼働していた福井県の大飯原発4号機が定期点検のため、停止された。現在のところ点検終了時期は未定とされている。2011年福島原発での事故以降、日本国内の全ての原発が停止するのは2度目である。国内の電力供給は、輸入燃料による火力発電に頼る状況が続く。

【稼働したい安倍首相?】
 福島原発の事故前、日本では国の電力の約3分の1を原発によってまかなっていた。原発がこのまま再稼働できなければ、火力発電のため、原油や液化天然ガスの輸入に頼ることになる。このコストは、日本の貿易において30年間で初めての赤字を生じさせていることをテレグラフ紙が伝えている。

 安倍首相としては、地震のリスクがより低い西日本の原発を再稼働したいところであったが、福島原発の汚染水流出のニュースを受け、世論調査では国民の84%が原発の廃止や停止を希望しているため、稼働に踏み切れないと同紙はみている。

 日本の成長率は第1四半期で4.1%、第2四半期で3.8%と、G7の中でも急回復をみせているが、手頃なエネルギー源の確保ができなかった場合、アベノミクスの弱点となってしまうだろう、と同紙は分析している。

【欧州への影響も懸念】
 日本の原発稼働停止は、2022年までに原発を廃止するドイツへの傾倒であり、国際市場におけるガスの価格を上げている、というエネルギーアナリストの見解をガーディアン紙は伝えている。ガス需要の高まりは、再生可能エネルギーへの助成金コストと合わせて、ヨーロッパ諸国のエネルギー価格を押し上げる事が予想される、と同紙は伝えている。

 現在、ドイツとイギリスは原子力による不足を補うため、石炭とガスの消費が劇的に増加している。イギリスの自由民主党員は、ガスの値上がり予測により、原発の稼働に向けての調査が必要、と語った事をガーディアン紙は伝えている。

Text by NewSphere 編集部