Z世代・ミレニアル世代とは? 独特の価値観に寄り添う効果的なマーケティング戦略紹介

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 マーケティングにおいて、ターゲット層を明確に、具体的に想定することはとても重要です。詳細なペルソナを設定するのはもちろん、顧客になり得る消費者の年齢層についても大まかに設定し、マーケティング戦略に活用します。気を付けたいのは、世代ごとに価値観や常識などが少しずつ異なることです。
「お国柄」「土地柄」という言葉があるように、人々はそれぞれが属するコミュニティーに応じて多少なりとも性格や趣味・嗜好などに一定の傾向が見られます。

 とはいえ、現在はインターネットが普及したことにより、地域差を感じさせないコミュニティーのつながりが増え、地域の差は少なくなってきた側面もあるでしょう。その一方で、世代ごとの価値観の違い、常識のずれは今もしばしば見られます。若者をターゲットとする商品を取り扱う場合、いわゆるZ世代・ミレニアル世代と呼ばれる今の若年層の消費行動における特徴を把握しなければいけません。今回は、若者をターゲットとする場合に想定される顧客層であるZ世代・ミレニアル世代の人々の趣味・嗜好に合わせた広告や動画制作、メディア運用のポイントについてご紹介します。

Z世代・ミレニアル世代について

Z世代の特徴と価値観とは

 「Z世代」とは、具体的には1990年代の半ばから2010年代初頭までに生まれた世代の人々を指す言葉です。アメリカではジェネレーションZと呼ばれており、世界的に特徴を持つ世代として認知されています。一方日本では、Z世代という呼び方よりも「ソーシャルネイティブ」「スマホネイティブ」といった言葉で表現されることが多いようです。

 日本での呼び名の通り、Z世代の若者にとってはインターネットやスマートフォンをはじめとするさまざまなデジタルデバイスは、生まれたときから常に身近にあったもの。そのため、上の年代の人々よりもずっとインターネットに親しんでおり、グローバルなコミュニティーの中で成長してきたという特色があります。インターネットやSNSを通じていろいろなコミュニティーの人と関わりを持てるため、価値観の多様性を重視しており、ダイバーシティーの価値観を持っている人が多い世代です。

 一方で他者からの評価に敏感な側面があり、承認欲求が強い人もしばしば見られます。リーマンショックや大規模な震災などを経験していることから、社会問題や環境問題についても強い関心を持つ人が多いです。

ミレニアル世代の特徴と価値観とは

 ミレニアル世代とは、具体的には1981年以降に生まれた世代の人々を指す言葉です。Z世代よりも少し上の年齢層を指しており、現在20代半ばから30代後半に相当する年齢の人々がミレニアル世代と呼ばれています。この世代の人々の大きな特徴は、大多数がデジタルネイティブであること。早い段階でパソコンやスマートフォンといったデジタル機器に触れ、インターネットを利用していた世代です。はじめからある程度整ったメディア環境で成長してきたことから、いろいろなテクノロジーを生活に取り入れることに抵抗がありません。

 ミレニアル世代に特徴的な価値観のひとつが、個人主義的であるということです。他者に対する興味・関心が若干希薄であり、対外的・客観的なステータスよりも自分のセンスを大切にする傾向があります。また、ものを所有することよりもコストパフォーマンスを重要視する傾向があるのもミレニアル世代の特徴です。自分の体験や記憶に価値を見出すため、マイホームやマイカーを持つよりもシェアハウスなどを活用してコスパ良く暮らし、その分自身の好きなことにお金や時間を使いたいと考える人が多数います。

Z世代・ミレニアル世代に向けたマーケティング

Z世代に向けたマーケティング戦略・手法の紹介

 Z世代もミレニアル世代と同様コストパフォーマンスを重視する傾向がありますが、その一方で自分の好きなもの、応援したいものに対しては消費を惜しまないという特徴もあります。日本では人口のおよそ14%、世界的に見れば全体の3分の1ほどを占めるZ世代は、今後マーケットの中心になっていく存在です。長期的な目線でZ世代へアプローチしていくことで、今後さらなる売り上げにつながる可能性は高いでしょう。そこで、今後重要な課題となっていくZ世代向けのマーケティング手法や戦略について、注意したいポイントをご紹介します。

インタラクティブなコミュニケーション
 Z世代は、他者とのつながりを強く求める傾向があります。そんなZ世代にとっては、インタラクティブなコミュニケーションを取れるかどうかがとても重要なポイント。店舗で直接話をするのはもちろん、SNS上での双方向のやり取りも大切です。

目的意識のあるブランディング
 ネームバリューよりも、ブランドの持つ価値観や信念へのシンパシーを重視して商品を選ぶ傾向が強いZ世代。強い共感を生むために、商品開発の目的や企業の存在意義などを明確にし、アピールしていく必要があります。

タッチポイントの考慮
 さまざまなSNSを使いこなすZ世代向けのマーケティングには、日々の生活の中でどんなメディアに触れているかを考慮したメディア設計が必要です。複数のSNSやメディアの戦略的利用が効果的といえます。

ミレニアル世代に向けたマーケティングの戦略・ポイントの紹介

 続いて、ものを所有したいという欲が他の世代と比べ若干低いとされるミレニアル世代向けのマーケティング手法についてもご紹介します。

体験欲を満たす
 先ほどもご紹介しましたが、ミレニアル世代は自分自身の体験を重視する傾向があります。そのため、他ではなかなかできない経験を商品として提供することが理想です。「人とは違う体験ができる」と知ってもらえるようなマーケティングを行いましょう。

ユーザーの拡散・共感を意識する
 ミレニアル世代は、経験したことを他者にも紹介したい、共感を得たいという気持ちが強いです。個人の経験の拡散・共感はさらなる消費につながっていくため、企業としてはユーザーが自身の経験を外部へ口コミとして拡散し、多くの共感を得ていくことを想定したサービスを提供していきたいところ。口コミの大規模な拡散につながるインフルエンサーの起用は、ミレニアル世代にも効果的なマーケティング手法のひとつです。

コストパフォーマンスの良さを重視する
 ミレニアル世代よりもさらに上の世代の人々は、「高級」であることを重視しています。商品やサービスの品質以上に、ブランドのネームバリューを重要だと考える人が多いのです。一方、ミレニアル世代は高級であることよりもコストパフォーマンスや品質の良さ、ベネフィットを重要視する傾向があります。ミレニアル世代に対しては、商品そのものの機能や品質の良さについてPRするのが効果的といえるでしょう。

Z世代・ミレニアル世代に相性の良いメディア・広告事例

事例

 Z世代やミレニアル世代に向けたマーケティング戦略に活用する上で、相性の良いメディアや広告の事例についてご紹介します。

エレクトロラックス・ジャパン株式会社
 著名なYouTuberとタイアップし、自社の製品を動画内で紹介してもらうというマーケティング手法を行っている企業です。動画内で紹介されたエルゴラピードZB3004という掃除機について、タイアップ動画の視聴者からは印象が向上しており、動画を見ていない人と比較すると、製品の認知度は30%以上上がっています。

 さらに、製品への興味関心や購入意欲、使用意向については40%以上の増加。また製品に対する信頼を持っている人の割合も非視聴者の10倍近くに増えており、タイアップ動画がブランドや製品のイメージ向上に大きく寄与していることがわかります。

株式会社ZOZO
 Instagramに実装されているショッピング機能をうまく活用している事例です。ショッピング機能を利用すると、Instagramに投稿した商品画像に商品の名前や値段などのタグを付けることができます。このタグにはECサイトの商品購入ページをリンクできるため、Instagramに投稿した商品画像を見てからECサイトでの商品購入に至るまでの道筋がとてもわかりやすく、購買につながりやすいのです。

 国内最大級のファッション系ECサイト「ZOZOTOWN」では、このショッピング機能を活用してInstagramの公式アカウントを運用しています。投稿ごとに商品のカテゴリーを揃えているため、カタログをチェックするような見方でInstagramを利用可能。画像を見て気に入ったものについてはタグからすぐにECサイトへアクセスできるため、効率的な買いものができる点もミレニアル世代の価値観にぴったりです。

株式会社エイチ・アイ・エス
 大手の旅行会社であるエイチ・アイ・エスも、Instagramを活用したマーケティングを行っています。学生限定で、専用のハッシュタグを付けて投稿すると利用料金の割引を受けられるキャンペーンを展開。Z世代・ミレニアル世代は倹約志向が強い人が多く、お金のかかる旅行は避ける傾向があります。「お得に旅ができる」という点で、Z世代やミレニアル世代にうまく訴求した事例です。

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Text by NewSphere 編集部