ダイキンがタンザニアで始めた環境負荷低減に貢献する新たな取り組みとは?

 世界で160ヵ国以上で空調事業を展開するダイキンと東京大学発スタートアップ企業のWASSHAは、「Baridi Baridi(バリディ バリディ)」という新会社を立ち上げ、タンザニアで日本にはない取り組みを始めている。

 アフリカ東海岸のタンザニアは沿岸部の気候は熱帯性で気温も湿度も高く、年中冷房が必要な暑さだが、エアコンの普及率も低く、わずかに設置されているエアコンも10台のうち7台は動いていない。現地の経済環境を背景に、安価だが環境性能の低いエアコンが普及し、メンテナンスもされないため壊れたら放置され、それが「ゾンビエアコン」になるという悪循環が生まれているという。また、エアコンの中にはCO2よりも地球温暖化への影響が大きい「冷媒」というガスが入っているが、それを回収する仕組みが整っていないため、ほとんどが大気へ放出されてしまっている。

 こうした悪循環を好循環に変えるためには「省エネで環境性能の高いエアコン(インバーターエアコン)の普及」が必須であり、「現地の経済環境を踏まえたビジネスのあり方」をダイキン(Baridi Baridi)は模索した。そこで考えられたスキームがエアコンをサブスクリプション方式で提供することだった。

支払いには東大発スタートアップのWASSHAのモバイルマネー技術が利用されており、1日/1週間/30日のプランが購入できる。

 エアコン本体を購入せずに設置して、メンテナンス費用も不要で月々の利用料のみで使うことができる。この仕組みであれば初期費用が抑えられ、現地の経済環境では高額でも環境性能のよいエアコンが使用できる。しかも、ダイキン(Baridi Baridi)がメンテナンスやエアコンの回収をするため、CO2排出以外にも温暖化に影響を及ぼすエアコン本体内の冷媒の回収も安全に行われる。これでエアコンが「ゾンビ化」することはない。

 省エネ性能の高いエアコンの普及は、「地球環境問題/地球温暖化問題」への対応において益々重要となる。国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のエアコン需要は2020年からの30年間でおよそ3倍に増加すると言われている。こうした需要増による環境負荷を抑えるためには、インバーターエアコンの普及による消費電力の削減が効果的だ。インバーターエアコンは温度調整を的確にできるので、開発途上国で主流の安価なインバーターなしのエアコンに比べて消費電力を約58%も削減ができるという。

 この取り組みは「空気で答えを出す会社」を目指しているダイキンの象徴的な「答え」といえるだろう。

 動画に登場する朝田氏は、自分の子供たちの時代も環境維持することの大切さについて「ビジネス性と社会の価値、この両方に貢献できる仕組みで行うこと。これこそがダイキンが果たすべき仕事」と語っている。世界での地球環境への対応は益々強く求められている中で、世界160以上の国々で事業を展開する空調専業メーカーであるダイキンだからこそ、ビジネスだけではなく社会に対する貢献も使命として取り組んでいるのではないだろうか。

提供:ダイキン工業株式会社

Text by NewSphere 編集部