睡眠の質を左右するホルモンとは?セロトニンの効果、意外と重要な食品選びについて

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就寝が遅くなっても気持ちよく目覚める日があれば、いくら眠っても疲労感が残る日もあります。睡眠は量より質が大事といわれていますが、質の良い睡眠を取るにはどうしたら良いのでしょうか?実は睡眠の質は体内で分泌されるホルモンに左右されています。睡眠の質を上げるホルモンについて解説し、そのホルモンの分泌を促進するために必要な食品を紹介しますので、睡眠の質を向上させ身体をリフレッシュしたい人は参考にしてみてください。

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睡眠の質は分泌されるホルモンによって左右される

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睡眠は時間だけではなく、質も大切です。質の良い睡眠が取れると目覚めがよく、次の朝は気分爽快で活動量が増えた…といった経験を持っている人も多いのではないでしょうか。睡眠の効果として、身体の休息はもちろんのこと、成長ホルモンの分泌が活発になるため肌のハリなどにも影響を及ぼします。このように、美容や健康にとって大切な意味を持つ睡眠の質は、体内時計に関係するホルモンによって左右されています。ホルモンの適切な分泌によって、身体は「夜になったから寝よう」とか「朝になったから目覚めよう」と感じることができるのです。

こうした体内時計のようにはたらく機構は「サーカディアンリズム」と呼ばれています。近年ではサーカディアンリズムは眠りだけではなく、高血圧や肥満といった生活習慣病と深い関係があることがわかってきています。睡眠に関するホルモンは、従来メラトニンやコルチゾールなどのホルモンが注目されていましたが、サーカディアンリズムに着目するとセロトニンというホルモンの役割が大きいことがわかります。米国の科学雑誌「The Journal of Neuroscience」に掲載された大阪大学村山富士夫教授のマウスを使った実験によると、マウスの脳にセロトニンが分泌されないように施術したところ、サーカディアンリズムが消失されたという結果が出ています。しかし、脳内の視床下部にある視交叉上核(しこうさじょうかく)という神経核にサーカディアンリズムはたしかに存在しているため、前脳基底部・視索前野(ぜんのうきていぶ・しさくぜんや)への伝達機能に問題が生じたのだと考えられます。このような研究から、セロトニンの分泌がサーガディアンリズムに大きく関連していることが想像できるようになりました。

セロトニンとは、別名「幸せホルモン」と呼ばれており、精神を安定させる効果をもたらすため、「ノルアドレナリン」や「ドーパミン」と並んで「三大神経伝達物質」に数えられることも多々あります。良質の睡眠のためにはメラトニンが不可欠ですが、そもそもセロトニンが生成されないとメラトニンが分泌されないのです。実は、メラトニンはセロトニンを原料としています。

セロトニンがよく分泌される方法

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ノルアドレナリンが増えると神経が興奮して交感神経が優位になり、睡眠に入りにくくなりますが。反対にセロトニンが増えると副交感神経が優位になるのですが、副交感神経が優位になると心身をリラックスさせるため、睡眠に入りやすくなるのです。セロトニンを分泌するためには、光を浴びることが大切といわれています。冬の間だと日光を浴びる時間が相対的に減るため気分が滅入る人が多くなり、特に日光が少ない北ヨーロッパではSAD(季節性感情障害)に悩む人が多くなりがちです。そのためヨーロッパ各国では光をできるだけ取り込む試みがされていたりもします。例えばイギリスでは「ライトカフェ(Light cafe)」の営業があり、利用者は20分間強い光を浴びられます。また山に囲まれているために太陽が入りにくいオーストリアの村では、鏡を利用して光を集めるという工夫をしているといいます。

適度な運動もセロトニンの分泌促進を助けてくれます。ランニングマシンを利用している人の脳からセロトニンが分泌されているという研究もあり、リズミカルな有酸素運動が効果があると考えられています。太陽を浴びながらのウォーキングなどがセロトニンの分泌を助けてくれるのです。ちなみに、バナナにはセロトニンが含まれていますが、バナナを食べてもセロトニン分泌に役立つことはありません。総じてセロトニンそのものを食べるのではなく、セロトニンの分泌を促進する食材を摂取することが必要です。そのセロトニンの分泌に必要なものとは、アミノ酸の一種であるトリプトファンです。

トリプトファン

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トリプトファンは体内では生成することができない必須アミノ酸です。そのため、トリプトファンを含んだ食品を摂取することが必須になります。そこで、文部科学省の食品成分データベースを元に表を作成しました。下図をもとに、トリプトファンを効率よく摂取してセロトニンを分泌し、睡眠の質を上げる意識を高めましょう。

食品
トリプトファン含有量(100gあたり)mg
ニシン・数の子(乾物 1,300
煮干し 1,100
削り節(さまざまな魚を利用) 950
鰹節(鰹のみ) 920
タタミイワシ 870
凍り豆腐(乾物) 750
全卵 700
パルメザンチーズ 590
豚ヒレ肉 500
カツオ 310

この表では100gあたりの含有量が多いという点において選んでいますが、たとえば凍り豆腐のように食品によってはいっせいに多く摂るのは難しい食品もあります。一方で牛乳は100gあたり45mgと少なめですが、1日200g以上摂取は簡単なので味の好みが合えば毎日摂取をすることも容易でしょう。肉類や乳製品はトリプトファンの含有量が比較的多いため、食事で一品摂取することで簡単に摂取できます。あまり肉類が好きではない人は、粉末卵白や濃縮大豆など加工された食品を検討するのもよいでしょう。

睡眠の質を上げるにはホルモンの分泌が重要で、そのホルモンを多くつくるトリプトファンはこうした食品から摂ることができます。睡眠の質を上げたいなと思ったら、食事から意識してみてはいかがでしょうか。

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Text by NewSphere 編集部