38歳以上の最適な睡眠時間、研究で判明 多くても少なくても脳に悪影響
最新の研究によると、40代以降の睡眠時間は7時間が最適のようだ。これより極端に多くても少なくても、認知機能や精神衛生に影響が出ることがあるという。
◆7時間睡眠の人々は脳機能の低下が少ない
中国とイギリスの大学による共同研究によると、少なくとも中年および高齢の人にとって、最適な睡眠時間は平均7時間となるようだ。研究はイギリスのバイオバンクに登録された50万人分のデータを参照して進められ、このほど科学誌『ネイチャー・エイジング』に掲載された。データは38歳から73歳のものであり、留意点として9割以上は白人となっている。登録者は睡眠パターンや精神的な健康状態についてアンケート調査を受け、また認知機能を測定するための検査を受診している。一部の参加者については脳のスキャン画像と遺伝子的なデータも収集された。
こうしたデータを分析したところ、睡眠時間が認知機能の低下に大きく影響していることが判明した。眠る時間が短すぎても長すぎても好ましくなく、情報の処理速度や視覚情報への反応、そして記憶力や思考能力などの衰えと関連するという。また、睡眠の不足あるいは過剰の状態にある人は、不安やうつなどの症状に悩まされがちであることも判明した。
◆深い眠りが妨げられると、脳に悪影響
7時間の眠りが脳機能と健やかな精神の維持に役立つようだが、その原因について研究チームは、阻害されることなく深い眠りをとれるためではないかと考えている。人間は深い眠りと浅い眠りを一晩に繰り返しており、このうちいわゆる深い睡眠の段階として、「徐波睡眠」と呼ばれるステージがある。徐波睡眠が妨げられると、記憶の定着に問題が起きたり、認知症の発症要因となるアミロイドと呼ばれるタンパク質が脳内にゴミとして蓄積したりといった問題が起きやすくなる。7時間前後の睡眠をとることに加え、日々の睡眠時間のばらつきを極力抑えることも重要になるという。
また、協力者の脳の構造を確認したところ、睡眠時間が7時間よりも過剰であったり不足したりしている人については、認知と記憶にかかわる部分により大きな構造的異常が生じがちであることも判明した。研究者たちは原因として、睡眠が阻害されることで脳内に炎症が発生する機会が増えるためではないかとみている。
◆眠りは歳とともにより重要に
本研究は、中国復旦大学のユズ・リー氏とバーバラ・サーキャン教授らのチームが行った。サーキャン教授は英ケンブリッジ大学精神学部にも在籍している。ケンブリッジ大学によるリリースのなかでサーキャン教授は、「夜間に適切な睡眠をとることは人生のあらゆる段階で大切ですが、年を重ねるごとにとりわけ重要になります」と述べ、眠りの大切さを強調している。教授はまた、とくに精神的な不調または認知症などを抱えている人々にとって、眠りの習慣を改善することが人生をより豊かに生きるための助けになるのではないかと述べている。
適切な睡眠をとれば翌朝をすっきりと迎えられるのはもちろんのこと、長期的な人生の質も向上できるようだ。
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