発酵食品の効能:ザワークラウトを食べると腸が健康になる理由

Elena Hramova / Shutterstock.com

著:Manal Mohammedウェストミンスター大学、Senior Lecturer, Medical Microbiology)

 何十年もの間、人々は「発酵」によって食品を保存し、貯蔵期限を延ばし、風味を改善してきた。しかし、発酵食品が健康に良いことを知っている人は(イギリスでは)多くない。

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 発酵食品とは一般的に「微生物の増殖を制御して製造された飲食物」、「酵素の作用で食品成分を変換して製造された飲食物」と定義される。ザワークラウト(キャベツの酢漬け)やケフィア(ヨーグルト飲料)、サワードウブレッド(自然発酵させた酵母を使用したパン)、ピクルス(乳酸発酵由来のもの)などもその一例だ。

 発酵食品には人間にとって有益な微生物や有用な代謝物(細菌が発酵中に生成される物質で、腸の健康を促進するとされる)が豊富に含まれている。

 これまでに数々の著名な研究者チームが、発酵食品は健康上の利点が多くダイエット効果があり、疾患のリスクを低減する可能性があると示唆している。

 イギリス栄養士協会(Association of UK Dietitians)をはじめとする食品関連団体等も積極的に発酵食品を摂取するよう推奨しており、いまでは生後6ヶ月以上の乳幼児には発酵乳やヨーグルトの摂取が勧められている。栄養バランスを整えるほか、不足しがちな鉄分を補い、さらに感染性胃腸炎を予防するためだ。

 また、大腸菌やリステリア菌といった消化器系感染症にかかりやすい低所得者や貧しい地域の人々は「発酵食品を定期的に摂取することがとくに重要」とする研究結果も発表されている。

◆なぜ発酵食品は体に良いのか?
 細菌は発酵中、ビタミンや有用な代謝産物を生成することができる。発酵食品には乳酸菌のような「プロバイオティクス」となりうる微生物が含まれている。これらの細菌は、腸内滞在時間は長くないものの、食物消化を助け、我々の免疫システムを高める作用がある。また、発酵食品に含まれるプロバイオティクスは、腸の壁を強化して内容物が血液に漏れるのを防ぐことから、「リーキーガット症候群(腸に穴が開く病気)」の予防に貢献してくれる。アレルギーや湿疹といった疾患の予防や治療にも役立つという。

 キムチなどの発酵野菜には、喘息やアトピー性皮膚炎を軽減する効果が期待できる。また、発酵食品に2型糖尿病高血圧のリスクを低減する効果があることや、発酵乳製品を摂取することで膀胱癌のリスクが低減することも報告されている。地中海沿岸の高齢者を対象にした研究では、ヨーグルトを多く含む食事によってメタボリックシンドローム(血圧上昇、高血糖、体脂肪増加の併発)のリスクを低減できることもわかった。

 発酵食品に含まれるプロバイオティクスは、コレステロール値を下げるなと、健康を促進する特性がある。ある研究では、特定の乳酸菌株が血中コレステロールを下げることも実証された。

 期待される効果はほかにもあり、さらなる研究が待たれる。最近のレビューでは、発酵食品中の乳酸菌が腸や肝臓、乳房などの腫瘍に対する抗がん作用があることが実証されている。閉経後の女性はリノール酸を多く含む食品(とくにチーズなど)を摂取することで乳がん予防につながる可能性がある。ただし、すべての研究がこれに同意しているわけではなく、マウスを使った実験では腫瘍の成長が促進される恐れも示唆されている。

◆精神状態と睡眠の改善
 発酵食品は精神状態や睡眠を改善することでも知られている。発酵食品に含まれるプレバイオティクスは難消化性成分で、腸内の善玉菌の成長・活性を刺激する。つまり、発酵食品を食べることで腸内環境の改善や数種類の善玉菌の成長が促進され、より幸福を感じられるようになる。そしてその結果、健全なレベルとなった「セロトニンホルモン」が気持ちを落ち着かせ、幸福感と不安感の安定をはかり、睡眠をコントロールするのだ。

 発酵によって強化された化学物質もまた、ポジティブなメンタルヘルスと関連している。質の良い睡眠には腸のケアが必要なので、就寝前にヨーグルトやザワークラウト、キムチなどの発酵食品を食べると、不眠症の克服につながるかもしれない。

 乳酸菌は発酵する過程で共役リノール酸を生成し、血圧を下げる効果があることが分かっている。高血圧の人は正常な血圧の人よりも精神的な問題(不安やうつなど)が起こりやすいと言われている。

 このように発酵食品には多くの健康効果が報告されている一方、副作用を感じる人もいる。もっとも一般的な反応は、一時的な腸内ガスの増加や膨満感だ。これは、プロバイオティクスが有害な腸内細菌や真菌を殺した後、余分なガスが発生したためだ。

 残念ながら、ザワークラウトやキムチを食べることで頭痛や偏頭痛が起きる人もいる。これは発酵食品に豊富に含まれるヒスタミンと関係があると言われている。ヒスタミン不耐性の症状は様々だが、一般的な反応としては頭痛や偏頭痛、鼻づまりや副鼻腔の問題、吐き気や嘔吐(ただし、これは比較的まれ)などがある。

 何世紀にもわたり、人々は健康上の利点に気づくことなく、「便利だから」という理由で発酵食品を口にしてきた。幸い、多くの発酵食品は安価で、製造方法もそれほど複雑ではない。そのため、我々は手軽に健康と幸福を増進することができるのだ。

This article was originally published on The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
Translated by isshi via Conyac

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